2019年AI活用は 個別習熟度別学習利用が進む

教育新聞特任解説委員 小宮山利恵子

米ラスベガスで去年1月に開催された世界最大のテクノロジー見本市「Consumer Electronics Show」に参加して気付いたトレンドは、AI、ロボットが必須の技術として多くの製品に入っていることだった。今年はその傾向がより進むだろう。それに加え、5Gも間もなく市場に入ってくる。5Gがスマホで使われるようになれば、現在使用している4Gでは例えば2時間の映画のダウンロードに6分かかっていたものが、3.6秒に大幅に短縮される。

それが教育領域に入ってくれば、動画による学びもさらに普及するだろう。テクノロジーの進展は速く、企業はいち早くそれに反応する。社会における状況変化に教育も追い付き、取り入れる必要がある。なぜなら、世界の教育現場は社会の進展と密接になりつつあり、テクノロジーの活用は、これからグローバル社会を生き抜く子供たちに必須になるからだ。2019年にテクノロジーと教育の関係がどのようなものになるのかを、今回は考えていきたい。

■海外ではAI活用は当然

米マーケティング調査会社「ガートナー」が19年のテクノロジートップ10を公表した。▽1位自律的なモノ▽2位拡張分析▽3位AI主導開発▽4位デジタルツイン▽5位エッジ機能の拡張▽6位没入型エクスペリエンス▽7位ブロックチェーン▽8位スマートスペース▽9位デジタル倫理とプライバシー▽10位量子コンピューティング。

その中でも、拡張分析(Augmented Analytics)は、個別習熟度別学習の促進や生徒との関係構築改善などにも役立つのではと考えている。簡単に言えば、これまでデータサイエンティストなど高度な知見を持つ人しか分析できなかったデータを、教師でも扱えるようになるということだ。ただし、分析して出てきた結果について、なぜその結果になったのかは、教師が生徒や保護者に説明する必要が出てくる。

没入型エクスペリエンス(Immersive Experience)は、例えばARやVRだ。ガートナーによれば、20年までに70%の企業・団体がその技術を利用すると予測されている。それは学校も例外ではない。

現在ではまだ利用している学校は少ないが、5Gが出てくればスマホでの動画視聴利用が増加するのと同じく、ARやVRを使った学びも急速に利用が進む可能性がある。またARやVRが使われることで、学びの場についての議論(スマートスペース)もより活発になるだろう。その子供に合った学習環境とは何かを追求できるようになる。

一方、PISAを進めるOECDでは、これからの教育を考えるプロジェクト「Education 2030」の第2フェーズが始まる。これまでの4年間は「子供たちは何を学ぶべきか」について議論してきたが、19年からは「どのように学ぶのか」「どのように教えるのか」に議論がシフトする。その中には当然、テクノロジーを用いた学びの方法も入ってくる。

■日本ではEdTechがやっと離陸

海外に行くと必ず驚かれることがある。それは日本の学校におけるデバイスとWi-Fi普及率についてだ。

「日本は先進的なテクノロジーを持っているから、学校でもすごいことをやっているんでしょう?」と質問される。

「小・中学校でのデバイスは平均5.9人に1台、Wi-Fiは平均30%だよ」と答えると、しかめ面をされる。しかし、それが現実だ。

20年度からのプログラミング必修化に合わせて、今年はデバイスやWi-Fiの普及が進む。それに伴って、「スタディサプリ」などのアプリを用いた個別習熟度別学習も進むだろう。総務省が学校のクラウド化に向けて有識者検討会議を立ち上げ、18年度中に提言をまとめることになっているのも、EdTech推進を加速させる狙いがあるからだ。

リクルートは東京学芸大学や茨城県つくば市、株式会社チェンジウェーブなどとともに、教員の働き方改革プロジェクトを18年11月に開始した。その中で、テクノロジーの活用がどのように教師の負担を軽減できるかについても検討している。

AIの教育利用は活発化しており、19年はAIが「脅威」ではなく「共存」の対象として教育の現場で議論されるようになるだろう。

(リクルート次世代教育研究院院長/東京学芸大学客員准教授)