学習評価の基本 総則を踏まえて充実を

教育新聞論説委員 寺崎 千秋

「児童生徒の学習評価の在り方について(これまでの議論の整理)」が昨年12月18日に出された。今後、答申、そしてこれを受けて、学習評価および指導要録の改善の通知などが出されるとともに、国立教育政策研究所が「評価規準の作成、評価方法の工夫改善のための参考資料」を作成し提供する。新学習指導要領における評価の全体像が明らかになる。各学校はこれらの内容について研究・研修し、児童生徒の学習改善や教師の指導改善につながる評価力を向上させ教育の質を高めていくことが求められる。

評価を研究・研修する際の出発点、学習評価の基本として押さえなくてはならないことがある。新学習指導要領の総則に示されている「学習評価の充実」である(総則第3節教育課程の実施と学習評価2学習評価の充実)。「学習評価の実施に当たっては、次の事項に配慮するものとする」として2点示している。以下のその内容を分析的に示して、配慮や取り組み方を確認する。

(1)について

「児童(生徒)のよい点や進歩の状況などを積極的に評価する」ことは、子供の学びを肯定的に評価しマイナス評価や減点評価を避けること。「学習したことの意義や価値を実感できるようにする」ことは、学んだことが他の学習や生活で使え、学習を楽しく面白くし生活を豊かにすることを実感すること。

「各教科等の目標の実現に向けた学習状況を把握する観点から、単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら評価の場面や方法を工夫する」ことは、指導と評価を一体にした指導計画・指導案を立て、これに基づく学習指導を実践すること。「学習の過程や成果を評価する」ことは、結果の評価だけではなく、学習過程での思考・判断・表現、工夫や努力の姿の評価を大切にすること。「指導の改善や学習意欲の向上を図る」ことは、教師にとっては指導の改善を図りながら授業の質を高めること、子供にとっては学習意欲が高まり、継続していくこと。そして、「資質・能力の育成に生かすようにする」ことは、以上の全てが、資質・能力の三つの柱のバランスのよい育成に収斂(しゅうれん)していくことを求めている。この基本をしっかりと踏まえたい。

(2)について

「創意工夫の中で学習評価の妥当性や信頼性が高められるよう、組織的かつ計画的な取組を推進する」ことは、これまでにも各学校が努力してきたことである。しかし、「教師によって評価の方針が異なる」「評価のための『記録』に労力を割かれて、指導に注力できない」「相当な労力をかけて記述した指導要録が、次学年や次学校段階において十分に活用されていない」などが指摘されている。これらの課題を解決し児童生徒や保護者から信頼される学習評価の実現に取り組むことが求められている。

「学年や学校段階を越えて児童(生徒)の学習の成果が円滑に接続されるように工夫する」ことは、「主体的・対話的で深い学び」を実現する過程での学びの成果や課題を学年間や学校間でつなぐことを重視することである。幼・小・中・高・特別支援の一貫や連携を重視する今日、評価においてもこれらの視点をしっかりとつなぎ、子供の学びをより深めていくことが求められている。

学習指導要領・総則に示された評価の基本を歴史的に見ると、「指導の成果を絶えず評価し、指導の改善に努めること」「指導の過程や成果を評価し、指導の改善を行うとともに、学習意欲の向上に生かすよう努めること」「児童のよい点や進歩の状況などを積極的に評価するとともに、指導の過程や成果を評価し、指導の改善を行い学習意欲の向上に生かすようにすること」と進化してきた。この意義を踏まえ、今回の改訂で示された評価の基本を確認し、学習評価の充実に取り組んでもらいたい。