学習問題が不登校を生む 調査結果は抵抗と不満の叫び

教育新聞特任解説委員 鈴木 崇弘

不登校予備軍33万人

「不登校傾向」にある中学生について、日本財団が調査を行い、昨年12月に結果を発表した。

調査はインターネットで昨年10月、中学生年齢(12~15歳)の計6500人などを対象に実施。

結果では、全国の全中学生約325万人中、文科省の不登校の定義(病気や経済的な理由による者を除いた、年間30日以上欠席した者)に該当する「年間30日以上欠席の不登校である中学生」は約10万人(3.1%)、「不登校傾向にあると思われる中学生」は約33万人(10.2%)に上ると推定した。

つまり、「不登校」または「不登校傾向」の中学生は約43万人(13.3%)だと推計。

他方、文科省は、2018年度問題行動調査で、中学生約10万人(3.2%)が不登校に当たることを発表している。その意味で、今回の調査は、文科省の「不登校」者数も裏付けている。

しかしながら、日本財団の調査は、不登校「傾向にあると思われる」中学生についても調査している点がユニークであり、かつ不登校の実態をより的確に調査していると考えられる。

対象者は「一定期間以上学校に行っていない(1週間以上連続欠席)」「学校の校門・保健室・校長室などには行くが、教室に行かない」「基本的には教室で過ごすが、授業に参加する時間が少ない」。さらに「仮面登校者」と呼ばれる「基本的に教室で過ごすが、皆とは違うことをしがちであり、授業に参加する時間が少ない」、あるいは「基本的には教室で過ごし、皆と同じことをしているが、心の中では学校に通いたくない・学校がつらい・嫌だと感じている」中学生も含まれる。

本調査のアドバイザーで、不登校新聞の石井志昴編集長は記者会見で、「不登校者の数字は氷山の一角で、実はもっと多いのではないかと言われてきた。そして、学校が不登校を隠してきた」と指摘していたが、本調査の「不登校傾向」の中学生の数は、その指摘を裏付ける結果となったといえよう。

いずれにしても、「不登校(傾向)」には子供によってさまざまな違いがあり、多様できめ細かな対応が必要であることが分かる。

学業が問題

また日本財団の調査では、中学校に行きたくない理由についても尋ねている。それによると、「朝起きられない」「疲れる」といった身体的症状以外の要因では、「授業がよくわからない」「良い成績がとれない」「テストを受けたくない」など学習面の理由が多かった。

これに対して、文科省が2017年度に行った不登校の要因に関する調査では、家庭事情および友人関係が各約3割、学業不振などが約3割になっている。

この相違について、日本財団の同調査アドバイザーの高橋麻衣子・東大先端科学技術研究センター講師は「文科省調査は教師が対象であるのに、本調査では中学生が対象であることで、違いが出たのではないか」と指摘した。

その相違は、回答者、問題・課題に対する認識や解釈、学校や教師自身の責任回避など、さまざまな原因が考えられるが、さらなる調査が必要であるといえよう。

他方、高橋講師が指摘するように、「不登校の大きな原因が、本調査から、学業が問題であることがわかった。それなら大人が介入可能」だろう。

学校や教師にとって、家庭や人間関係の問題は対応困難だが、学業であれば、工夫や最新のテクノロジーでかなり対応しやすくなるといえるだろう。

学びたいと思える場所とは

日本財団の調査では、不登校または不登校傾向にある現中学生と卒業生(卒業後~22歳)に、「学びたいと思える場所」についても質問している。回答は「自分の好きなことを突き詰めることができる」場所が最も多く、「自分の学習のペースにあった手助けがある」場所が次に高かった。

このような回答結果を受けて、高橋講師は「一斉にやる積み上げ学習はしんどい。その落ちこぼれを救うために活動などをして、それを学びにつなげるやり方もあるのではないか思う。自力で読み・書きが学べないなら、タブレットなどを活用した、テクノロジーで支援するやり方もある。いずれにしても、子供が学びや学び方を選択でき、それが支援されるようにして、学びを保障してあげるようにすることが必要だ」とコメントした。

今回の調査結果は、子供たちのこれまでの「学校」や学習方法、教育内容に対する抵抗と、不満の叫びのように感じられる。単なる直感や思い付きではなく、地道に調査を重ね、その実態に迫る重要性や必要性を、この調査は示したといえよう。

 (城西国際大学大学院教授・日本政策学校代表)