主幹教諭の希望降任増加 リーダーとして校内の信頼獲得を

教育新聞論説委員 寺崎千秋

希望降任制度により主幹から降任した主幹教諭が183人に上った。文科省の2017年度「公立学校教職員の人事行政状況調査」の結果で報告されている。

希望降任制度とは、本人の希望に基づいて管理職などからの降任させる制度である。2017年度の校長からの希望降任は7人(対教育職員数割合0.02%)で、この5年間、ほぼ横ばいである。

副校長等からは95人(同0.26%)で若干の減少傾向。主幹教諭の183人(同0.85%)は前年度より16人多く、14年の139人(同0.69%)から毎年増加している。

主幹教諭の登用者数は18年4月1日現在で全校種合計して3869人。数的には大きなものではないが増加していることが気になるところである。

結果には降任の理由は報告されていないが、本紙の取材記事では、主幹教諭らは「管理、事務業務よりも児童生徒にもっと向き合いたい」「学校全体のマネジメントをするのが荷が重い」ことを挙げたのだという。

前者については、子供の教育に取り組むために教員になったのであるから、十分あり得るだろう。

一方で、主幹を志したときには、学級や教科だけではなく学校全体の教育や子供たちのことを考えたのではなかったか。

後者についても、学校全体のマネジメントや、運営をリードすることを主幹の務めとして理解し、志したのではなかったのか。

主幹教諭の任務は、学校教育法で「校長(副校長を置く小学校にあっては、校長及び副校長)及び教頭を助け、命を受けて校務の一部を整理し、並びに児童の教育をつかさどる」(中学校等に準用)とある。管理職を補佐し、他の教員をリードする存在であり、ミドルリーダーの典型として期待されている。

主幹教諭について文科省が47都道府県、20政令市の教育委員会に行った「主幹教諭・事務長に関する実態調査」(18年4月1日の状況)では、主幹教諭を配置しているのは57教委であり、「今後増やすことを検討中」が22教委であった。現在配置していない10教委のうち「配置を検討中」が3教委であった。

また、配置した効果を自由記述で聞いたところ、「管理職と教職員のパイプ役になることにより、校内のコミュニケーションが改善された」「教職員間の業務調整が円滑になり、業務の質が改善し、業務の効率化が進んだ」「若手教員等の校務処理能力が向上した」など、学校の組織力向上や教職員の負担軽減、人材育成につながっている、との声が上がっていると報告されている。まさに期待された成果を挙げている。

本年1月25日に中教審学校の働き方改革特別部会が答申した「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」では、校務分掌の在り方の見直しを求め、経験豊富で専門性の高いミドルリーダーとしての主幹教諭の役割を重視している。

具体的には、「主幹教諭の負担軽減措置を講じることにより、教師の適切な役割分担と連携の中で主幹教諭がその役割を十分に果たすことのできる環境整備が重要である」としている。

国、地教委、学校管理職が一体となり、主幹がその機能・役割をキャリアとして身に付け十二分に発揮できるよう、環境整備に取り組むべきである。

各学校にあっては、冒頭に挙げたように「経験豊富で専門性の高いミドルリーダー」として期待される主幹教諭が降任を希望することは望ましくない。

管理職は当人の主幹を志した動機や意欲を大切にし、主幹に推薦し認めた力量をさらに育成し、校内外の信頼を集めるリーダーとして実るよう育ててほしい。