実効性あるカリキュラム・マネジメント 階層に応じて当事者を明確に

教育新聞論説委員 工藤文三

■カリキュラムの階層に応じたマネジメント

新学習指導要領に、カリキュラム・マネジメントの推進が明記され、新教育課程の編成・実施においてこの言葉が多用されるようになる。

カリキュラム・マネジメントとは、学習指導要領では教育課程に基づいて「組織的かつ計画的に各学校の教育活動の質の向上を図っていくこと」とされており、これまでも各学校で実施されてきた。今後は、カリキュラム・マネジメントをより具体的に、計画的に進め、その効果が上がるようにすることが必要である。

学校におけるカリキュラムは、計画の段階に着目すると、おおむね次の階層に区分できる。①学校の教育課程②各教科・科目などの指導計画、全体計画、生徒指導や進路指導等の計画③各教科・科目等の単元の指導計画④授業の構成と展開の計画――である。

教育課程の編成とは、所与の諸条件・環境を前提に、①から④を調整し計画していく作業である。特に、①における目的や目標を、②以降に具体化する道筋を明確にすることが重要である。

また、①~③においては、カリキュラム編成に関わる「系統性」「関連性」「重点化」「精選」などのキーワード、および指導形態や学習活動等への配慮が必要である。

例えば、ある教科のある指導事項の定着に課題がある場合は、③や④の改善が課題になる。また、学校の重点目標が「考える力を育てる」とされている場合は、①②③④全てで、具体的にどのように計画するかを明確にしておくことが必要である。

■当事者を明確に

教育課程は、上述したように階層に応じて順次編成・計画され、実施に移される。カリキュラムの実施過程およびステップの終了した段階で、実施状況と評価の情報が収集され、課題とその後の改善方策が立てられる。

また、計画段階は①→②→③→④のプロセスであるが、評価の段階では④→③→②→①の順序となる。計画段階では、当初の重点目標の具体化、課題解決の方策の具体化がポイントになる。実施と評価の段階では、計画の実施状況、目標の実現状況がポイントとなる。

これらのカリキュラム・マネジメントを組織的に進めるためには、それぞれの場面、階層ごとに当事者としての取り組みを進めることが大切と考える。

①の教育課程の編成は校長が最終的な当事者であり、②の年間指導計画は教務や教科などの担当が当事者である。③④は授業の担当者が当事者となる。それぞれの当事者は、当初の計画の実施状況や成果の状況を把握し、次の課題と改善計画を作成する。

■実施状況の評価と成果の評価

カリキュラム・マネジメントを進める際に留意したいのは、実施状況の把握と、成果としての学習状況の把握との区別である。

前者は、実施に移された授業が、計画どおりに展開されているかという点である。この点については、単元の特性、配当時間、児童生徒の実態、予定した活動の内容等によって規定される。このことの把握と評価は、次年度の計画作成の際にも生かされる。

次に、児童生徒の学習状況の把握。これは、カリキュラム・マネジメントにおいて中核となる。教育課程編成に当たって、重点的な課題としている事項については、成果としての学習状況の分析により、課題の達成が明確になる。例えば、「思考力の育成」を重点課題にしているのであれば、単元ごとの評価の観点に即して、思考力の状況を把握分析し、成果を判断する。

カリキュラム・マネジメントの実効性を高めるためには、カリキュラムの階層とマネジメントの手続きに着目し、当事者ごとに責任を持って計画と評価を進めることが大切と考える。