新任校長の学校経営計画 「やらなくてはならないこと」から

教育新聞論説委員 寺崎 千秋

昇任した校長はこんな学校づくりをしたいと理想に燃えていよう。2校目、3校目に転任した校長は、これまでの経験を生かしてさらによりよい学校づくりを目指していよう。

既に、学校経営ビジョン・学校経営計画を所属教職員に示し説明して協力を求めたところであろうか。そのような折だが、改めて新任の校長に考えてほしいことがある。「やりたいことよりやらなくてはならないことを」ということだ。

「やりたいこと」とは、自分の経験、学びから得た教育哲学や識見などをもとに、校長になったらこのような学校をつくる、このように学校経営を行う、こんな子供たちを育てる、など抱いてきた理想や思いを実現しようとすることである。大切なことだがこれが出すぎると課題が生じる。赴任してすぐに過去の経緯に関係なく「こんな学校に」と学校経営案を示せば、教職員は戸惑い不信感を持つ。

当然だろう。これまで子供たちのために築いてきたもの・ことを否定され変えられるのだから。自分の思いや願いが先行し過ぎると勇み足となり結果的に誰もついてこないということになりかねない。「やりたいこと」の前に「やらなくてはならないこと」を考えよう。

「やらなくてはならないこと」とは、今、校長として時代や社会から求められているもの・ことをしっかり踏まえてそれに応えるということである。「社会に開かれた教育課程の編成・実施」「資質・能力の三つの柱の育成」「カリキュラム・マネジメントの三つの側面からの充実」「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」、そして「チームとしての学校づくり」が、そのキーワードだ。

新学習指導要領に基づく教育課程の全面実施までにできるようにしておかなくてはならないポイントであり、この2年間重視されてきたものである。これに「学校の働き方改革に関する業務改善等」が加わる。全面実施や完全実施に向けて「やらなくてはならないこと」が多くある。これらキーワードを踏まえて、学校経営計画を作成していきたい。

4月にまず取り組むべきは、子供や教職員、家庭・地域などの実態、学校の教育活動や施設・設備の実態などを自分の目でしっかりと把握すること。これらについて人々の話をよく聞かなくてはならない。学校の歴史、伝統や文化、教職員が受け継ぎ大切にしていること、子供たちの学校に対する自慢や誇り、保護者や地域の人々の思いや願い――など。自分の学校のよさや可能性などをしっかりと把握する。

教育上、学校経営上課題と感じたり考えたりすることも多くあろう。漠然と課題探しをするのではなく、先のキーワードを視点にすると、実現や解決の方向性や方策、手だてが鮮明になってくるだろう。

4月の一カ月、新しい目、耳、体で感じ、考え、見いだした課題は、その日の内にしっかりと記録に残す。5月、6月と月日を重ねていくとだんだん慣れてしまい、課題と感じなくなる。見いだした課題をどうするか、早めに考えなくてはならない。

メモし記録した学校のよさや可能性、課題をゴールデンウイークに整理・分析しておこう。今年のゴールデンウイークは10日もある。学校の受け継ぐべきよさをさらにどう生かし、どう発揮させるか。各課題についてどのように改革・改善するか。いつまでにどのように取り組んだらよいか。組織や役割なども含めて、それぞれに課題解決の案を立てる。これらを学校経営計画に位置づけ、さらに年間の見通しが見えるようにする。計画・見通しの確立にこれまでの経験、学び、見識が生きて働く。楽しい取り組みとなろう。

「やりたいこと」より「やらなくてはならないこと」に目を向けることは、「やりたいこと」の今日的な意義や意味も見えてくるのではないか。連休明けの学校経営計画の説明が教職員の学校経営への参画意欲を高めることになることを期待したい。