「主体的に学習に取り組む態度」の評価 「自己調整」の共通理解と具体化を

教育新聞論説委員 工藤文三

「学習評価及び指導要録の改善」

「児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について」の通知が2019年3月29日付で、発出された。14年11月の学習指導要領改訂に係る中教審への諮問、16年12月の答申、その後新学習指導要領が告示され、今回の指導要録の改訂をもって、新教育課程の編成・実施に関わる基本的な条件はそろったことになる。

今回の改善通知で、観点別評価および評定と目標準拠評価として実施すること、前者は分析的な評価として、後者は総括的な評価とした点は、従前と変わりない。今回の大きな変更点は、新学習指導要領における資質・能力の三つの柱を受けて、指導と評価の一体化を推進する観点から、評価を「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に改めた点である。

また、「主体的に学習に取り組む態度」の評価については、各教科の観点の趣旨に照らし、知識および技能を獲得したり、思考力・判断力・表現力などを身に付けたりすることに向けた粘り強い取り組みの中で、自らの学習を調整しようとしているかどうかを含めて評価するとした。

「主体的に学習に取り組む態度」の評価

この改善の趣旨を教育課程の実施と評価に具体化するためには、次の点について検討が必要と考える。

第一は、評価の観点がこれまでの4観点または5観点から3観点に改められたことによる、観点間のバランスである。学習評価に当たっては、観点ごとの評価場面、評価方法を計画し、それぞれの評価情報を収集の上、評価を行う。その後、学期や学年末に評定を総括する。その際、観点ごとの重み付けに特に共通の決まりはないが、これまでは観点間のバランスを考慮して総括がされてきたといってよい。

今回、3観点になることによって、特に「主体的に学習に取り組む態度」のウエートが従来の「関心・意欲・態度」に比べて高くなる。このことからも「主体的に学習に取り組む態度」の評価は、妥当性や信頼性につながる評価方法を定着させ、説明可能なものにしていく必要がある。

第二は、「主体的に学習に取り組む態度」の評価の具体的な方法である。通知では、知識・技能や思考力・判断力等を身に付ける学習において「粘り強い取組の中で、自らの学習を調整しようとしているかどうか」をポイントに挙げている。

この観点の評価は、これだけ独立して行われるのではないこと、また、「粘り強い取組」「自らの学習を調整」の二つの点を含めることとしている。「粘り強い」の用語は、一般的な形容表現であり厳密性に欠け、学習評価に用いることができるかどうかは疑問が残る。

「自己調整」の具体化に向けて

一方「自らの学習を調整」の概念は、「主体的に学習に取り組む態度」の評価方法および評価場面などを具体化する際のキーポイントになる。「自己調整」とは、おおむね次のような内容を含むと考える。

①学習の計画段階で、目当てを考えたり、学習の見通し(方略)を考えたりする②学習の進行場面で、自らの学習自体をモニターし調整する③学習の結果としての目標の達成状況を自己評価する――である。

これらを、評価活動として具体化するためには、授業の目当てを考えさせる場面の工夫と充実、学習の進行プロセスにおける振り返りと調整、学習の結果の自己評価を行える授業設計が必要である。主体的・対話的で深い学びを踏まえた授業に、これらの視点を組み込んで授業を構成する必要がある。

従来の「関心・意欲・態度」の評価については、既に一定の歴史があるが、その評価の妥当性は課題が指摘され続けてきた。「主体的に学習に取り組む態度」の評価を適切に進めるには、「自己調整」の具体化を含む評価事例の提供などの取り組みが必要である。