「生きる力」のリーフレットの活用 共通理解の基本、協働の出発点として

教育新聞論説委員 寺崎 千秋

新教育課程に関する保護者らの関心は、新たに導入される中学年の外国語活動や高学年の外国語、プログラミング教育に目が向いているようだ。マスコミの影響も大きいと思われる。これらは教育課程全体の一部である。肝心の教育そのものがどのような方向に進んでいくのかについての関心や理解は薄いのではないか。今のままでは、社会と共有、連携、協働を標榜(ひょうぼう)する「社会に開かれた教育課程」の理念の実現は難しくなろう。あらためて新教育課程の内容、方向性を確認する必要がある。

文科省はこのほど、「生きる力~学びの,その先へ~」と題したリーフレットを教育委員会・学校を通して小・中学校の全家庭に配布した。その内容を小学校で見てみよう。「改訂に込められた願い」「学習指導要領とは?」「小学校で学ぶ教科等は?」「子供たちの学びはどう進化するの?」「新たに取り組むこと、これからも重視することは?」「お子さんが学校で学んだことについて、ご家庭で、ぜひ話してみてください」となっている。新教育課程について、キーワードと簡潔な文章で解説している。

このリーフレットをぜひ活用してほしい。単に保護者に配布して終わりにしないでほしい。教職員一人一人の新学習指導要領の趣旨や方向性の理解の深化、教職員・学校全体の新教育課程編成・実施についての共通理解、そして保護者や地域の人々への説明など、人々の共有、連携、協働獲得のための資料として活用してもらいたい。

リーフレットの内容について教職員一人一人は具体的にどのようなことなのかを理解し説明できるだろうか。まずは各内容の説明を自分で表現してみよう。不明確であれば、新学習指導要領やその解説書、中教審の答申などを再学習してみるとよい。教職員一人一人がリーフレットに示された内容が子供たちにとってどのようなことなのかをしっかりと学習し理解していることが必要だ。

個々の教職員の理解とともに学校全体としての共通理解が重要である。リーフレットに示されている内容に関して、わが校ではどのような教育目標を打ち立て、これを実現する教育課程はどのようなものなのかについて、これらの作業過程を通したり、校内研修を重ねたりして共通理解を深めることが大切である。共通理解が薄くばらばらに教育・指導が行われるのであれば、資質・能力の三つの柱、その目指すところの確かな学力・豊かな心・健やかな体、そして目的とする生きる力の育成を確実にはできない。これまで以上に学校全体のチーム学校としての共通理解が必要である。

保護者や地域の人々には、このリーフリットを説明資料とし、各内容について学校としてどのような教育課程を編成し、どのように教育・指導を進めていくか、その過程において保護者や地域の人々とどのように共有、連携、協働していくかを説明する。

校長など管理職任せにしないで、一人一人の担任教諭らが学級などで保護者に説明するようにする。それも1回ではなく、折りに触れて繰り返し説明することが必要である。

そのためにも一人一人がしっかりと理解し説明できるようにしておくことである。自分が理解していなければ保護者に説明することはできまい。保護者の中には学習指導要領や教育課程、評価などをよく学習している人がいないわけではない。わが子の先生が未来を開く力を付ける教育をしっかり実践してくれるだろうかと見つめている保護者もいる。これに自信をもって答えていく教員、学校であってほしい。

新教育課程の理念である「社会に開かれた教育課程」の編成・実施には、理念の共有、そして実践における連携や協働は以上のようなチーム学校としての取り組みと説明があって可能となる。リーフレットを活用し、この取り組みを展開することを勧めたい。