学習評価の改善 学びの観察力・評価力の向上を

教育新聞論説委員 寺崎 千秋

文科省が3月に「小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)」を出した(以下「通知」)。

中教審の初等中等教育分科会教育課程部会の「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」(2019年1月)(以下「報告」)を受けたもので、「指導要録に関する記載事項等」「評価の観点等及びその趣旨」も「別紙」として付されている。

主な内容は「1 学習評価についての基本的な考え方」「2 学習評価の主な改善点について」「3 指導要録の主な改善点について」「4 学習評価の円滑な実施に向けた取組について」「5 学習評価の改善を受けた高等学校入学者選抜、大学入学者選抜の改善について」となっている。重要なポイントでありしっかりと確認したい。

「2 学習評価の主な改善点について」では、資質・能力を三つの柱で再整理した新学習指導要領の下、指導と評価の一体化を推進する観点から、観点別学習状況の評価の観点が「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に整理された。別紙4の「各教科等・各学年等の評価の観点等及びその趣旨」もこの3観点で示されており、簡潔に整理されたといえよう。各学校はこれらを参考にして具体的な自校の評価基準を作成することになる。

三つの柱の一つの「学びに向かう力、人間性等」については、「主体的に学習に取り組む態度」として観点別学習状況の評価を通じて見取る部分と、観点別学習状況の評価になじまず、個人内評価などを通じて見取る部分に区分けする必要があることを明確にしている。

「報告」によれば、「学びに向かう力、人間性等」のうち、感性や思いやりなど観点別の評価や評定には示しきれない児童生徒一人一人のよい点や可能性、進歩の状況は「個人内評価」として評価するものとし、「通知」もこれを受けて児童生徒に伝えるよう求めている。これをしっかりと把握して準備することが大切だ。

「主体的に学習に取り組む態度」の評価については、「各教科等の観点の趣旨に照らし、知識及び技能を獲得したり、思考力、判断力、表現力等を身に付けたりすることに向けた粘り強い取組の中で、自らの学習を調整しようとしているかどうかを含めて評価すること」としている。「報告」によれば、「粘り強い取組を行おうとする側面」が十分認められたとしても「自らの学習を調整しようとしている」側面が認められない場合は基本的に「十分に満足できる」(A)とは評価されない。つまり、従来のように「頑張っている」だけでは(A)にはならないということだ。「自らの学習を調整しようしている」かどうかを活動状況から見取る(評価する)のは容易ではない。

また、それ以前に教師は一人一人の子供がアクティブ・ラーニングの視点で学ぶように指導を工夫する必要もある。それこそが指導と評価の一体化だからだ。これまでも「関心・意欲・態度」の評価は難しいといわれてきた。子供の主体的・対話的で深い学びの状況の観察力や評価力の向上が求められる。国や教育委員会も具体的な参考資料などを早く提供してもらいたい。

今後、新学習指導要領・総則に示されている「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」と「学習評価の充実」を基本にし、その一体化を図りながら、「通知」や「報告」を基に学習評価の妥当性や信頼性が高められるよう、学校全体として組織的・計画的に取り組むことが重要だ。小学校は全面実施まで1年を切っている。

これまでに取り組んできた主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善に加え、評価に関する研修計画を立て一人一人の教師のさらなる力量向上を目指してほしい。

あなたへのお薦め

 
特集