日本語「無支援」 外国籍児童問題

教育新聞特任解説委員 鈴木 崇弘

日本語を話せない児童生徒

毎日新聞が先日、「外国籍・生徒1万人超が日本語『無支援』」と題する、衝撃的だが予想された記事を掲載した。

これは同紙が、文科省に情報公開請求し、日本の小中高および特別支援学校などの公立学校に通い、学校から「日本語教育が必要」と判断されたにも関わらず、指導を受けられていない外国籍児ら(注1)が、外国人集住地域だけではなく全国に広がっていて、全国で1万超に上ることが判明したと伝える記事である。

4月の入管法改正で、外国人労働者が日本社会で仕事をする機会が増えた。またその一部は、家族の帯同も許されている。今後、日本語を話せない児童生徒数はさらに増えると考えて間違いない。

また、日本語教育が必要な児童生徒の、その親の少なくとも一方も、日本語能力が不十分な可能性が高い。その場合、日本学校と家庭とのコミュニケーション不足などで、児童教育に支障が生じないともいえない。

そう考えると各学校地域には、それ以上の数の日本語教育が必要な人々がいると考えられる。

また、同記事は、日本語支援が行き届かない問題の背景として、加配教員の不足を指摘する。

外国籍児らの在籍数は1校当たり5人未満が7割であり、加配教員は全国で2224人過ぎないため、日本語の指導者がいない現実にも言及している。

当該児童生徒やその親らに日本語教育が十分にできていないと、児童は十分な教育も受けられず、成長後も、本来は社会に貢献したくとも、失業や社会的な問題を生むなど、社会的な負担にならないとも限らない。

以上のことを考えると、学校やそれを取り巻く周辺部分における日本語教育の体制・対応を、早急に構築する必要があろう。

いくつかの提言

そこで、次の提言をしたい。

①加配教員1人当たりの必要児童生徒数の変更

この場合、必要とする児童数の換算を1校当たりではなく、市町村全体の日本語必要児童生徒数で勘案する。また、その際に、生徒の親などで日本教育が必要な者の数もその数に換算し。それらの方も日本語教育指導支援が受けられるようにする。

②eラーニングなどの活用

言語教育は、直接の指導を受けられるのが望ましいが、入学・転入時期や時間的な制約、あるいは反復学習ができること、さらにある程度の人的制約や地理的な条件を克服できるなど、多くの利点がある、日本語学習のeラーニングのシステムを、国が構築してはどうだろうか。

これと並行し、かつそれを生かしながら、各地域でリアルにも学べ、親などの場合は直接に人的な関係を構築できる機会や、バーチャル上で指導を受けられる仕組みも構築すべきだ。

③その他

今後は今まで以上に多様な外国籍の方が日本に入り、滞在する可能性が高い(注2)。

その結果、法制度や仕組みにのらないあるいはのりにくい方や児童も増える可能性がある。

それらの方々には、法的に適正に対応されることが望ましいが、現に日本社会で生活している者もいる。

その場合、政府が対応することは難しかろうが、海外の事例にもあるように、税金の一部をNPO・NGOなどに流し、そこがそれらの該当者に日本語教育を施すことも考える必要があろう。

また、ある日本語教育関係者に聞いた話だが、現在の日本語学校では、多くの主婦の方々が、配偶者控除などを気にしながら勤務しているので、日本語教師の労働条件や教育レベルの低下を生んでいる面があるそうだ。

その働き方を否定はしないが、今後外国籍の児童を含めた日本語能力に制約がある方々が増えることを考えた場合の、日本語教育や日本語学校の役割にも関わる問題であるので、よりプロとして働くことのインテンシブが高まる対策が必要であろう。

さいごに

今後より多くの外国籍の人々やその児童が増え、多様化していく日本において、学校を中心とした日本語教育の在り方の、抜本的な対策が早急に採られることが望まれる(注3)。


(注1)多くは外国籍だが、保護者の結婚で、日本国籍を取得し、移住した児童生徒も含む。
(注2)既に不法滞在者もいる。
(注3)外国人労働者受け入れ拡大に合わせて、日本語教育の国の「責務」との明記、外国人従業員受け入れ企業の日本語学習支援義務化、日本語学習推進の地方自治体や企業の、国の財政支援などの制度化を図る「日本語教育促進法」は近く可決される。

(城西国際大学大学院教授・日本政策学校代表)