教育課程基準の評価 改訂のポイント踏まえ計画的な実施を

教育新聞論説委員 工藤 文三

教育課程基準の改訂と実施

新教育課程は、2017・18年の改訂以降、移行措置期間を経て、20年度の小学校から全面実施となる。この間、学習指導要領の解説が発行されると同時に教科書の編集作業が進められ、各教育委員会においては新課程に関わる研修も進められてきた。

今回の改訂の特色である、「主体的・対話的で深い学び」の実現や、各教科等の特質に応じた「見方・考え方」を働かせる学習、カリキュラム・マネジメントなどがどのように教育課程の編成や指導計画の作成に具体化されるかが問われている。特に今回の改訂の特色である主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善は、指導計画においてどのように具体化するのか、また、各教科等の目標に示された見方・考え方を働かせるために、授業構成にどのように具体化するのか、などの点は、各学校の教育課程編成における重要課題である。

さらに、新学習指導要領において、資質・能力の三つの柱を提示し、目標・内容の構成を改めたことが、各学校の教育課程編成にどのように具体化されるのかは、今後の教育課程基準の方向性を検討する上でも重要な課題である。

教育課程基準と個々の授業構成の間

教育課程基準の改訂はほぼ10年おきに行われてきたが、これまでは、基準改訂に関わる中教審への諮問で方向性と課題を示し、その後、審議会でさまざまな資料や関係者への意見などを集約、答申としてまとめる方法を取ってきた。

答申は、子供の実態や社会の状況、その他の観点を踏まえて整理されているため、多面的な要素を含んで仕上がっていることが多い。そのため、従前の教育課程基準と実施された教育課程の成果と課題がどのように検証され、改善が提案されたかは、判然としない場合が多い。

その理由には、教育課程基準と実際の授業、その結果としての児童生徒の学習状況の間は、数多くの媒介項があることが挙げられる。例えば、教育課程基準を受けた教科書の編集内容、教育委員会などにおける指導の手引や研修内容、各学校への指導助言、先導的な役割を果たす学校における授業の公開などである。また、最も重要なのは、これらの動きを受けて、各学校の関係者がどのように理解し、教育課程の編成と実施、評価に具体化していったかという点である。

日々の授業を実施している教員の立場からすると、授業の構成・展開には具体的な手だてが必要である。例えば主体的・対話的で深い学びの実現には、その教育的意義はもとより、明日の授業や単元の構成で具体的にどこをどのように改めればよいか、具体的な手だてが見える必要がある。

教育課程基準としての新しい提案の評価とは、ここに示したように、改訂内容がどのような回路を経て、教員一人一人の授業構成に具体化したかということである。その結果としてどのような力が育ったかということになる。

教育課程基準の評価方法の検討と計画的な実施を

今後も、根拠に基づいた教育課程基準の運営と見直しを進めるためには、全面実施を間近に控えた今日、教育課程基準の評価をどのように進めればよいのか、評価の内容と方法、評価の手続き、関係資料の在り方について検討を進めることを期待したい。これまでも教育課程の編成・実施状況調査や学習指導要領の実施状況調査が行われてきており、今回も行われると予想される。

今後、これらの調査を行う際にも、今回の改訂のポイントを踏まえたものとなるような設計を期待したい。特に教育課程基準の示し方の改訂と指導計画との関係、主体的・対話的で深い学びを踏まえた授業改善の実態、見方・考え方を働かせることの具体的な場面と内容については、改訂の骨組みに関わる内容であり重要と考える。