小学校ワンオペ体制 脱却できるか

教育新聞特任解説委員 妹尾 昌俊

小学校、ワンオペ教育でいいのか

中教審で「新しい時代の初等中等教育の在り方について」の検討がスタートした。報道などでは小学校での教科担任制が導入されるかもしれないことが注目されているが、諮問文を読むと、基礎的読解力などの基盤的学力の定着、年間授業時数のあり方、特異な才能を持つ子供の支援、外国人児童生徒などへの教育の在り方、教員免許更新制などなど、広範なテーマが並んでいる。

さて、ここでは紙幅の関係もあって小学校教育に限定して考えたいが、何を重く捉える必要があるだろうか。

それは、いわば「ワンオペ」体制をどうするか、ということではないかと思う。諮問文にあるような、基盤的学力、特異な才能を持つ子供の支援、外国人児童生徒などの多くが学級担任1人にのしかかっている。

もちろん、各学校では管理職や学年団、あるいは支援員などもサポートには入っているが、とはいえ、それぞれも多忙なこともあって、かなり学級担任が踏ん張っている部分もあると思う(学校ごとの程度の差はあれ)。

また、新指導要領で一層質の高い授業が求められているというのに、小学校の学級担任は、国語、算数、理科、社会(または生活科)、体育、図工、家庭、音楽、外国語、道徳、総合的な学習の時間と、最大11種類のも教科などを担当する。プラス、学校行事や学級活動、委員会活動などもある。

専科教諭などが配置されていて、もう少し教科数は少ない学校も多くあるとはいえ、1人がおよそ8~11もの授業準備を入念に行うのは無理があるというものだ。

教科担任制の検討は正直、遅きに失した感もあるが、過去には戻れないので、さっさと検討して予算化に向けて動いてほしい。エビデンスが必要というなら、家庭環境や学力の状況が似た複数の小学校で、教科担任にして準備する教科数を減らした学校・学級と、そうではない学校・学級とで、どのような功罪があるか比較分析してほしい。

もち授業コマ数を減らすことは最重要課題

とりわけ小学校では、準備する教科数の多さに加えて、空き時間がほとんどないこと、言い換えれば、勤務時間中にしっかり授業準備する時間が確保されていない問題も深刻だ。

教師がもつ授業コマ数を調べたところ(国の教員勤務実態調査、2016年実施)、小学校では週26コマ以上が47.4%、21~25コマも39.7%いる。中学校では16~20コマが56.8%、21~25コマが23.7%で、26コマ以上は1.7%(いずれも0コマ、無回答を除いた割合)。高校はといえば、国の学校教員統計調査(2016年度)によると、公立高校の場合、週20コマ未満の教師は86.1%を占めるし、授業をもつ教師の平均コマ数は週に15.4コマだ。

小学校と高校では、実に10コマ近い開きがあるのである。

小学校教師にしっかり授業準備をしてもらい、子供たちの読解力や深い思考力、あるいは問題解決力などの基礎を育んでもらうためには、持ちコマ数の減少がもっと注目されるべきだ。中教審ではこの点を重く考えてほしいし、当事者も周りももっと主張していくべきだろう。

なお、教科担任制にしても、教員定数の見直しなくして導入しては、空きコマの増にはつながらないので、不十分だ。

こうしたことは、どう考えてもオカシイ。小学校教師のモチベーションを下げかねない制度と運用となっている。こういう事実を直視することなく、小学校の採用倍率が下がって「質の低下が懸念される」と教育委員会などが言うのは、どうなのかなと思う。国、教育委員会などが自らのこれまでの政策を真摯(しんし)に反省することも必要だ。

本稿で述べたこと以外にも、小学校教育には、もちろんさまざまな課題はある。だが、何が多くのものに効きそうか、ドミノの先頭はどこにあるのかを考えていく必要がある。予算も人手も時間も限られるのだから、真に重要性の高いところにリソースをもっと振り向けるべきだ。

(教育研究家、学校業務改善アドバイザー)