交通事故防止 「右、左、右」の指導を徹底しよう

教育新聞論説委員 寺崎 千秋

令和の時代に入って、小学校1年生の交通事故死などは減ったであろうか。

今年3月に警察庁交通局が発表した「歩行中児童の交通事故の特徴等について」によれば、▽状態別では歩行中の事故が最も多い(過去5年合計で約6割)▽小学校1年生の歩行中死者・重症者数は6年生の約3.6倍(学年が低いほど歩行中の、学年が高くなると自転車乗用中の割合が高くなる)▽1年生の第1のピークは5月中・下旬(下校中及び私用)▽歩行中死者・重症者の約4割は飛び出しが原因――などとなっている。

4月の交通安全週間には、朝会などで子供たちに交通安全を呼び掛けたり、街頭指導を行ったりしたことであろう。5月、1年生の交通事故は防げたのだろうか。気になるところである。

発表によれば、小学校1年生の歩行中の死者・重症者数の第2のピークは10・11月である。子供の実態を踏まえ、一時の呼び掛けだけではなく、今から教育課程に基づいて指導を積み上げていきたいものである。

小学校学習指導要領では、各教科などにおいて以下のような指導が規定されている。

低学年の生活科では、学校生活に係わる活動を通してルールやマナーを守り、安全に登下校できるよう指導する。

体育の保健では、高学年児童の交通事故の防止に、周囲の危険に気付くこと、的確な判断の下、安全な行動が必要であることを指導する。

道徳科では、中学年・高学年の「節度・節制」で安全に気を付けること、全学年の「規則の尊重」で決まりを守る・決まりの意義などを指導する。

特別活動では学級活動の「心身ともに健康で安全な生活態度の育成」に際して、事故から身を守り安全に行動する重要性を指導する。

これらを教育課程に位置付け相互の関連を図りながら指導計画を作成し、意図的、計画的に指導し、交通安全に向けた知識・技能、態度などの力を育んでいく。
最近では、高齢者が引き起こす重大な事故が多く、特に幼児・児童への配慮や注意を呼び掛けている。

幼児・児童の視野は大人に比べると狭いので、左右の車が目に入らない。その状態で歩行したり飛び出したりするので、事故に遭うことが多い。

高齢者ならずとも、大人は十分に注意して運転してもらいたい。

一方、学校が児童に指導する上で注意すべき点が「安全確認の右、左、右」である。道路を横断する際に、単に左右を見るのではなく、左右から車が来ていないことを確認してから、そして左側の確認。さらにもう一度目の前を車が走る右側を確認する。

このことで最近怖い思いをした。

一方通行の場所で歩道の手前に2台車が駐車していた。右を見ると少し離れたところに車が来ている。左を確認すると車はなし。それで渡ろうとしたら駐車している車の影から突然タクシーが走り抜けてきて、ヒヤッとした。右側の再確認をしていなかった。

これが身長の低い1年生だったら事故に遭っていたのではないかと予想された。

朝会などで漠然と「車に気を付けましょう」と声掛けするだけでは効き目はない。具体的に指導することが必要だ。

「右、左、右」を交通安全教室などで実際にやってみる必要がある。

低学年は体験が重要である。自分の身は自分で守ることを、体験を通して学ばせるようにしたい。

その上で、教育課程に基づく交通安全の指導を積み上げるようにしよう。何よりも大切な子供の命を守るために。