「全国学力・学習状況調査」の結果 カリキュラム・マネジメントに活用を

教育新聞論説委員 細谷 美明

文科省は7月31日、今年4月に行われた「全国学力・学習状況調査」の結果を発表した。

すでに本紙の8月1日号において詳細は報道されているが、9月の新学期に向け、管理職がこの結果を今年度、および来年度以降の教育課程と学校経営にどう活用していくか。

私の中学校校長時代の経験で恐縮だが、いくつかの事例を紹介し、対策の参考としてもらいたい。

最初の校長勤務校で、着任した年の9月に届いた調査結果を見たとき、学力が予想以上に低いのに驚いた。質問紙調査の結果についても、生徒たちの生活実態が想像を超える状況であるのにわが目を疑った。

逆にそのことが学校経営への意欲をかき立てた。指導主事時代の経験を生かし、教員に任せるのではなくまずは自分で分析をしてみた。

学力に関して言えば、2教科ともその地区での平均正答率を7ポイント以上も下回っていた。そこで、設問ごとの平均正答率に着目し、特に全国平均よりも際立って低い設問を拾い集めてみた。

国語の長文読解問題、数学の文章題に対する正答率が低く、原因が生徒の「無回答」であると判明した。それ以外の設問―漢字の読み・書きや数学の計算問題といった問題―の正答率は悪くはない。

これらから考えられるのは、無回答の生徒の多くは問題文の意味を十分理解できていないのではないか、ということである。読解力の向上が最優先課題となった。

まず、それまでの朝自習の時間を読書活動に変えた。反対する教員もいたが、強行した。

さらに、長期休業中に各種団体から要請のある読書感想文コンクールなど、作文コンクールになるべく多くの生徒が参加するよう、国語だけでなく、社会、理科の教員にも協力を仰いだ。

それまで参加していた漢字検定や英語検定のほか、数学検定、歴史検定など各種検定試験の種類を増やした。また、過去の作文コンクールで入賞した生徒作品は、他校の生徒のものでも印刷し全校生徒に配布した。よい文章は、直接目にして読むことで感性が磨かれ、自然と読解力が付いてくるという私の信念であった。

授業改善も同時に行った。国立教育政策研究所が発行している全国学力・学習状況調査で好成績を挙げる学校の取り組み事例集も大いに参考にし、各教員の授業に取り入れさせた。

生徒の家庭生活の改善も図った。就寝時刻の学校平均は「午前0時~2時」で、その時間帯に「ゲームや携帯電話でのメール」を行っている生徒が3割近くいた。

そこで宿題を毎日出すなど家庭学習の習慣化を図った。また、「遅く寝て遅く起きる」習慣も、「朝の早起きランニング・ウォーキング週間」を設定して改善を目指し、家庭の協力も仰いで遅刻者を削減した。

ほかにも新しい取り組みを導入していったが、在籍した4年間で学力は全国平均とほぼ同程度となり、生活習慣に関する数値も大幅に改善された。

こうした「強硬策」から始まった年度途中からの学校改革であるが、教員や保護者、地域の理解と協力を得られたのは、本調査の分析に基づき、実績のあるさまざまな取り組みを公開しながら取り入れたからに他ならない。

カリキュラム・マネジメントとは、まさに「教育内容の質の向上に向けて、子供たちの姿や地域の現状等に関する調査や各種データ等に基づき、教育課程を編成し、実施し、評価して改善を図る一連のPDCAサイクルを確立する」(文科省「新しい学習指導要領の考え方―中央教育審議会における議論から改訂そして実施へ」)ことにある。

7月31日の発表は、文科省が各学校の管理職に突き付けた暑すぎる夏休みの宿題かもしれない。