高等学校における観点別評価 能力育成を意識した指導と評価を

教育新聞論説委員 工藤 文三

指導要録の改訂

2019年3月の「学習評価及び指導要録の改善」に関する通知によって、高等学校指導要録の各教科・科目等の学習の記録については、新たに観点別学習状況を記入することとされた。同時に示された参考様式にもその記入欄が示されている。

また、観点別学習状況は、▽目標に準拠した評価として実施し、その結果はA、B、Cとして示すこと▽観点別評価は分析的評価であり、総括的評価としての評定の要素となるものであること▽評定の決定方法は各学校で定めること――も明記された。

これらの観点別評価および評定の示し方と相互の関係は、小・中学校と同様の内容となっている。従前も、評定は観点別評価を十分踏まえることとされていたが、指導要録の参考様式に記載欄がなかったことから、定着しなかったと推測できる。

17年度の文科省の委託調査によると、「指導要録に観点別学習状況の評価を記録している」との高校は、国公立で11.2%、私立で20.7%にとどまっていた。今後、指導要録への記入が必須になると、各学校は、観点別評価を全面的に実施することになる。

能力育成を意識した指導と評価

観点別評価とは、目標として設定した能力をそれぞれ区分して評価する仕組みであり、この方法を用いることによって、生徒が修得した学力を構造的に捉えることが可能になる。評定のみの方法では、修得された学力の内部構造を把握できない。

観点別の評価を実施するためには、まず指導目標が目指す能力の区分に応じて明確にされる必要がある。評価の場面となる各単元においても、どの力をどのような方法で評価するのかが、あらかじめ計画されていなければならない。評価場面において対象となる能力が明確にされ、それにふさわしい方法が準備されて初めて観点別評価が可能になる。

高等学校の各科目における評価は、内容がより専門的になることもあり、能力の育成・評価というよりも、指導事項の理解状況をまとめて評価する形になっていたのではないか。

今回の観点別評価の実施に際しては、指導事項をその内容とともに身に付ける能力と合わせて捉え直し、指導計画と授業構成に具体化することが大切と考える。

定期試験を含めた評価方法の検討を

多くの高等学校では、評価方法の一定程度を定期テストが占めていると想定される。これを踏まえると、定期テストの問題作成時には、評価の観点に対応するような問題作成を工夫するべきだろう。知識・技能、思考・判断・表現など、評価の観点にふさわしい問題作成を進めるようにしたい。また、評価が定期テストのみに集中しないよう、レポートや作品、小論文などの方法も組み合わせて用いたい。

各学校で共有すべきこと

高等学校では、教務内規や申し合わせで評価についてのルールを定めていることが多い。観点別評価の導入に当たっては、カッティングポイントや評価方法間の重み付けについて、校内で一定のルールを定める必要がある。また、観点別評価を評定に総括する際の観点間の重み付け、評定のカッティングポイントの設定も必要である。

これらの点をルール化する際に、教科の特性をどの程度許容するのかが課題となる。ただ、学校の方針の下にルールを設けることを大前提とする。

例えば、カッティングポイントや重み付けについて、校内で一定の幅を持った目安を設け、全ての教科がこの幅に入るようにする方法も考えられる。

また、評価に関する学校としての基本的な考え方や決まりは、入学時などに全生徒および保護者に周知する。各教科・科目等の評価の具体的な方法は、シラバスに記載するなどして、生徒にあらかじめ示すことが必要である。