教職員の精神疾患 早期発見・早期対応を心掛ける

教育新聞論説委員 細谷 美明

夏休みが終わり、新学期に学校が神経をとがらせるのが子供の不登校である。しかし、ここ数年、管理職がそれ以上に神経をとがらせているのが教職員の精神疾患による休職である。

昨年の12月に文科省から発表された「公立学校教職員の人事行政状況調査」によると、2017年度における精神疾患による休職者は、小・中・高等学校、特別支援学校、義務教育学校、中等教育学校に勤務する全教職員の0.55%に当たる5077人となった。前年に比べ3.8%増であった。

注目すべきは勤務年数別のデータだ。「1年以上2年未満」が23.3%と最も多く、次いで「6カ月以上1年未満」の19.1%、「2年以上3年未満」の15.9%、「6カ月未満」の7.6%と続く。つまり、3年未満の教職員が7割近くもいるという実態である。とりわけ、近年急激に新規採用教員の割合が増えている小学校は深刻だ。

その原因について、2018年度の「過労死等防止対策白書」によれば、教諭(指導教諭も含む)の80.7%が「業務に関連するストレスや悩み」があると答えている。その内訳は「長時間勤務の多さ」(43.4%)、「職場の人間関係」(40.2%)、「保護者・PTA等への対応」(38.3%)、「学校や児童・生徒を取り巻く環境」(31.1%)、「休日・休暇の少なさ」(28.6%)と続く。

これらのデータからは、教員採用選考に合格しあこがれの教師になっても、想像以上の学校現場の厳しさに独り悩み精神的に追い詰められていく若い教員の姿が目に浮かぶ。

ストレスや悩みの筆頭に挙げられる「長時間勤務の多さ」については、すでに中教審の働き方改革に関する答申でも触れられているが、すぐに解決できるものではない。「職場の人間関係」についてはどうであろうか。

現代の若者はコミュニケーション能力に欠けるとよく言われる。自分の年齢以上の人間との交流経験が少ないのも社会人になってから苦労する原因の一つであるようだ。

しかし、コミュニケーション能力に欠けているのは若者だけではないのではないか。先輩・上司は若手に対し誠実に相談を受けているのだろうか。

どんなに忙しい状況の中でも、若手から質問や相談を受けたら自分の仕事を止めて彼らのために時間を割いて対応する姿勢を持っているか。逆にいじめともとれる言動・行為をしていないか、先輩・上司として必要かつ適切なコミュニケーションをとっているか、いま一度管理職自身の目で職場の人間関係を見直す必要があろう。その姿勢が「保護者・PTA等への対応」や「学校や児童・生徒を取り巻く環境」の改善にもつながるのではないか。

また、予防だけでなく管理職を中心とした精神疾患の早期発見・対応が重要である。疾患の初期症状として、頭痛、腹痛、めまい、吐き気、不眠などが起き、遅刻、欠勤、早退などが目立つようになる。口数が少なくなり職員室にあまり戻らなくなったり、仕事の能率が落ちてきたりすることもある。精神面では、情緒が不安定になり勤労意欲が低下したり、自己評価を下げる発言が増えたりする。

校長は副校長や各主任の協力を得ながら、必要があれば本人と面談し、こうした状況をより早く把握する努力を怠らないことだ。

2学期は4カ月近く続く長い学期だ。精神疾患が発症する確率も高い。早期発見・対応のためには管理職自身が精神疾患に関する予防的な取り組みや、メンタルヘルスについての知識およびストレスへの対処行動を身に付けることが大切である。リスクは常に身近にある。