消費税率の引き上げ 税の体験的な学習の機会に

教育新聞論説委員 工藤 文三

消費税率の引き上げ

10月1日から消費税率が8%から10%に引き上げられる。1989年に3%でスタートした消費税は、その後5%、8%と段階的に引き上げられ、10%の税率となる。

消費税は、商品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税される性格を持っている。また、価格に上乗せされるため、国民全体の消費生活に関わる。消費者が負担した消費税は事業者によって納税の手続きが行われる。

消費税の使途は、消費税法第1条第2項に「消費税の収入については、地方交付税法に定めるところによるほか、毎年度、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする」と明確に示されている。

今回の引き上げに伴って、消費生活に広く影響する飲料や食料品(酒や外食を除く)には税率を8%とする軽減税率が適用される。これについては、持ち帰り(テイクアウト)と、店内での飲食(イートイン)とで税率が異なる。購入する際に店頭でいずれかをその都度確認することになる。

さらに、2020年の6月までは、登録している中小の事業者やフランチャイズチェーン加盟店でキャッシュレス決済をした場合に、現金代わりに使えるポイントが還元される。

税の体験的な学習の機会

このように複雑な性格を持つ消費税であるが、今回の経験を通じて児童生徒に税への関心を深める機会としたいものである。

教育課程においては、小・中学校の社会科、高校の公民科において、租税の役割や納税の義務などを取り扱うことになっている。そこでは、公共施設との関わりや財政との関連で税の意義や役割に触れる。

これらの教科では指導計画に基づいて学習することになるが、今回の消費税の引き上げを機会に、トピックとして取り上げたり、総合的な学習の時間や学級活動の題材にしたりすることもできる。

具体的な活動としては、消費税の引き上げに関する報道を話題にしたり、家族と行った買い物の体験を報告したりすることが考えられる。

中学校や高校では、新聞記事などを教材にして制度を理解させることもできよう。

買い物で受け取るレシートは身近な教材となる。これを持ち寄り、10月1日以前と以後とを比較させる学習も有用である。さらに商品や店舗によって、税率の示し方がどうなっているのかを調べさせることもできる。

問いと気付きで関心を深めさせる

買い物体験やレシートの比較を行わせる中で、レシートに記載される商品のうち、商品によって8%のものと10%のものがあること、また、消費税が課税されていないものもあることなどに気付かせるようにしたい。身近なものでは、鉄道の運賃や携帯電話の通信料、はがきや切手の料金はどうなっているか。病院の診療費や投薬料、私立学校の授業料などについても調べてみたい。

これらの活動を通じて、なぜ飲み物や食料品は8%のままなのか、消費税を払った後、誰がどのような方法で税金を納めているのか、消費税は今回の引き上げの結果、税収額がどの位になり、それらは何に使われるのか、といったことについて、問い掛けながら関心を持たせるようにしたい。

さらに、学校段階にもよるが、消費税と同じ間接税には、ガソリンなどに課税される揮発油税や酒税、たばこ税などがあることに気付かせたり、調べさせたりする学習が可能である。

その他にも所得税や法人税、相続税などの制度の存在、徴収する主体によって国税と都道府県税、市町村税があることにも気付かせ、税の仕組みに関心を持たせるようにしたい。