21世紀出生児縦断調査 勉強の有用性を実感させる

教育新聞論説委員 細谷 美明

文科省は8月30日、「第17回21世紀出生児縦断調査(平成13年出生(調査時点での子供の年齢は17歳)児)」の結果を公表した。

この調査は、2001年(平成13年)に出生した子供のうち約3万人を対象に、実態および経年変化の状況を毎年観察するものだ。毎回調査する学校生活の満足度のほか、今回はスマホの利用状況が新たに調査項目に加わっている。

スマホの利用は、休日において「3~4時間未満」「4~5時間未満」「5~6時間未満」「6時間以上」を合わせると6割以上に達し、多くが音楽や動画の視聴、メールやソーシャルメディアでのコミュニケーションに使っていた。また、6時間以上利用している子供の半分以上は学校外で勉強を全くしない状況にあった。

高校2年生時に学校外で勉強をしないと回答した割合は29.9%で、高校1年生時(26.3%)よりも増加している。これは高校卒業後に働くことを考えている者に多く見られた。

注目したのが学校生活、とりわけ学校の授業に対する満足度である。例えば、「ためになると思える授業がたくさんある」の項目に「とてもそう思う」「まあそう思う」と答えたのは68.0%で、2年前の15歳(中学校3年生)時の76.6%より8.6ポイント下がっている。

また、「楽しいと思える授業がたくさんある」の項目に「とてもそう思う」「まあそう思う」と答えたのは56.4%で、2年前の69.2%より12.8ポイント下がっている。

さらに「授業の内容をよく理解できている」の項目に「とてもそう思う」「まあそう思う」と答えたのは66.5%で、2年前の78.8%より12.3ポイント下がっている。

これらの数字は、前述のスマホ利用に関する数字と併せて考えると、高校生になって学習以外の興味がスマホを通じて広がり、その結果学習時間が減り、学習への理解も意欲も減退するという傾向を表している。

高校生になると学習内容の量が増えたり質が高まったりするので理解度が低下することはままある。が、授業が楽しくないと考える子供が年齢が高くなるほど増えているのは、高校の授業全般が子供にとって魅力のないものとなっているのではないか。

高校では新学習指導要領の実施が22年度から年次進行で始まる。今回の改訂では特に教科・科目構成の大幅な見直しが図られたのが目を引く。

社会で求められる資質・能力を全ての生徒に育み、生涯にわたって探究を深める未来の創り手として送り出していくことがこれまで以上に必要とされ、高校の教員に対し主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を促している。探究を重視した科目が多く新設された理由もここにある。

今後、高校においては小・中学校以上に、生徒が各教科・科目等の特質に応じた見方・考え方を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう過程を重視した学習の充実が図られなければならない。

今回の調査結果は、高校卒業後に就職を考えている者も含め、これまで以上に実社会で役立つ資質・能力を目指した授業や各種教育活動、つまり「社会に開かれた教育課程」の早急な編成・実施の必要性を証明したといえる。

対策として、企業で開催している起業体験プログラムや体験型探究プログラムなどの事業を活用するのも一案である。勉強が生きていく上で必要かつ有意義なものであることを全ての子供に実感させることが、いま課題として高校に突き付けられている。