国際交流の機会 出会いから学び合いへ

教育新聞論説委員 寺崎 千秋

日本語指導が必要な、外国にルーツを持つ児童生徒への教育は、各学校において児童生徒の実態や家庭・地域の実情を鑑みつつ進められている。これを充実させるには学校だけではなく、各地域においてさまざまな機関や人々が連携協力しながら、児童生徒の日常生活の充実や多様な交流の機会を広げていくようにしたい。

10月6日に東京都八王子市の「八王子国際交流フェスティバル2019」を参観した。主催は特定非営利活動法人八王子国際協会、八王子学生委員会で、独立行政法人国際協力機構(JICA)が共催し、八王子市が協力、八王子市教育委員会などが後援している。

フェスティバルのテーマは「Be together as one ―共に暮らすやさしい街に」。プログラムは〈みんなで楽しみ! みんなで経験し! みんなで味わう!〉というキャッチフレーズの下、「外国の人や文化と触れ合う異文化交流スペース」「外国人による日本語スピーチ」「外国の音楽やダンス・日本の踊りに親しむステージ・パフォーマンス」「『おもい』を発表する小・中学生のスピーチ」「世界の笑顔・みんなの笑顔写真展」など多彩であり、会場は外国人、老若男女入り交じって盛況であった。

注目したのは「『おもい』を発表する小中学生のスピーチ」。八王子市立の小中学生が学習中の英語や日本語を使ってスピーチを体験する。日本の子供は英語のスピーチに、外国にルーツを持つ子供は日本語のスピーチにチャレンジする。

外国にルーツを持つ子供のスピーチの演題、その主たる内容は、「私の家族」(小3=日本在住1年目、家族の紹介、もっと日本語が話せるようになりたい)、「私の夢」(小5=美容師になりたい、友達の髪をもっとうまく結ってあげたい)、「たこやきたべたい」(小6=以前食べたたこ焼きを食べたいが、日本ではハラルで食べることができず、作り方を知りたい)、「私の学校生活とホームスクール」(中2=英語のテストが信じられないくらい悪かった。英語なのにテストが日本語で書かれている。早く日本語が理解できるようになって、英語が得意なことを分かってもらいたい)。

日本に来て日が浅くたどたどしさはあるが、各自の生活・学習に関する「おもい」はよく伝わってきた。会場から笑い、うなずき、納得、感嘆の声やつぶやきなどが響き、発表者も満足そうだった。

文科省が本年9月27日に公表した「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」(2018年度)によれば、日本語指導が必要な児童生徒は5万759人となった。2年前の前回調査より6812人の増加(15.5%増)であり、今後も増加するであろう。

外国籍、日本国籍問わず日本語指導が必要な児童生徒の多くは、在籍学級での指導以外に「特別の教育課程」による日本語指導や教科の補習など、特別な指導を受けている。これにとどまらずに、日本語に慣れ、使い、仲間をつくり、相互の理解を広げ深め、生活を豊かにしていくことができるよう、八王子の実践のように学校、家庭、地域、関係機関が一体となって、幅広く交流ができるようにしてほしい。

文科省の有識者会議においても、増加する外国人児童生徒への教育の在り方が審議されている。児童生徒自身の声、思いや願い、意見をよく聴くことが必要ではないか。八王子のような実践が学校内外でもっと日常的に気軽に行われ、その声、思い、意見を元に交流できたら相互の理解がより深まると期待できる。

ぜひつなげ広げて、出会いが触れ合いとなり学び合いとなるようにしていきたい。