(新しい潮流にチャレンジ)2020年―教科書はどう変わるか

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教育創造研究センター所長 髙階玲治

URL・QRコードをどう活用するか

新教科書はどう変わるか

教科用図書検定調査審議会について、その存在を全く知らなかったが、教科書に大きな影響を与えることを2011年度の学習指導要領の完全実施の年度に思い知った。

教師は、新教育課程に移行する4月に教科書を渡され、そのとき初めて教科書が大きく変わったことを知る。11年度の驚きは新教科書が突然3割も厚くなったことであった。

「ゆとり」教育からの脱却が叫ばれ、ある程度厚くなることは予想されていたが、3割とは驚きであった。その背景には、教科用図書検定調査審議会の「報告」があった。報告には次のような記述がみえる。

「基礎的・基本的な知識・技能が確実に習得されるよう、既に学習した内容を系統的な反復練習や、練習問題などによる繰り返し学習に関する記述の充実」「知識・技能を活用する学習活動が取り入れられるよう、観察・実験やレポートの作成に関する記述の充実」

こうした教科書内容の「充実」方策の要求が6項目記述されている。「報告」はその6項目全てにおいて「教科書発行者における教科書の著作・編集の改善が求められる」としたのである。

教科書内容が3割も増加されて、学校は当然ながら教科書の量や質について「教えられるか」という危惧の念が強まった。これまでは教科書内容はどの内容も重要とされて、全て教えることが前提であった。

当時、文科省も学校の混乱を受けてか「全て取り上げなくともよい」としたのである。

URL・QRコードの取り扱いについて

次期教科書は審議会においてどう審議されたであろうか。2017年5月にその報告が示されている。

20年度の新教科書はどう変わったか。従来よりページ数がさらに10%増え、AB版など大型化した。今回の報告で特に注目されるのは、デジタル教科書の扱いである。紙の教科書とデジタル教科書の内容は同一のため改めて検定の必要はないが、動画や音声などは検定が難しいとされ実施しない。

関連する新たな対応としてURL・QRコードが新たに加わった。URLはインターネット上の住所であり、QRコードは2次元バーコードと言われたものである。QRコードはよく目にするようになった。

今年の台風15号が千葉県に大きな被害をもたらしたことから、NHKは地域情報をTV画面にQRコードで示して情報提供に努めていた。スマホで簡単にQRコードの内部情報を読み取ることができるから、日常的に活用が急速に広がることは確かである。

そうしたURL・QRコードが教科書に載るのである。すでに企業の家庭用学習テキストでは、例えば英語の音声までも提供できている。それを使えば、教科書にはない学習情報を新たに提供できる。学習量が増加するのではないかという懸念と同時に検定が困難になる。英語では当然、音声などのデジタル教科書になるであろう。

審議会のデジタル教科書の検討はなお続くであろうが、4月から教科書として導入されることは確かである。実際にはそれを使用する教師の判断が重要になる。ただ、QRコードそれ自体は教科書そのものではなく、あくまでも教科書との関連で扱うべきものである。QRコードに偏らない指導が必要である。

だが、デジタル教科書の登場は、新たな教育への胎動を予感させるものがある。学校教育へのテクノロジーの導入は確実に教育の在り方を変える方向で進むであろう。さらに、実際的な課題として子供のスマホ学校持参が常態化するのではないか。新たな課題が生まれそうである。