防災教育の見直し 自助・共助・公助の思考力・判断力を育成

教育新聞論説委員 寺崎 千秋

災害が忘れないうちに次から次へとやってくる。1995の阪神・淡路大震災、2004年の新潟県中越地震、11年の東日本大震災、16年の熊本地震、18年の大阪府北部地震など、発生の間隔が短くなっている。東南海地震や首都直下型地震なども予想されている。台風による大被害は毎年のことであり、今年は強風や水害による災害の大きさが目立った。しかも、後始末や復旧・復興に長い時間がかかり、多大な負担が残っている。

災害に遭った地域や人々から「予想していなかった」「予想を超えていた」「準備が足りなかった」「対応が遅れた」などの声がマスコミの報道で多く聞かれた。その後の調査から「ハザードマップを見ていない人が30%を超えていた」という報道にも接した。改めて防災教育の確実な実施の重要性を認識し、想定を超える災害を前提に防災教育の在り方を見直そう。大人になってからでは間に合わない。

11月15日に開かれた全国小学校生活科・総合的な学習教育研究協議会の兵庫大会に参加、神戸市立成徳小学校5年生の総合的な学習「災害大国日本! 復興した神戸からの発信」の公開授業を参観した。

全70時間の大単元で、探究のサイクルは「第1次=阪神・淡路大震災について知ろう…災害について調べよう」「第2次=災害大国日本!!…防災マップを作ろう」「第3次=災害大国日本!!…自分の命を守る方法を発信しよう」と計画されている。本時の学習課題は「自分の命を守るために大切にしたいことを考えよう」。

これまでの学習やフィールドワークから得た情報や知識をグループ、その後、全体でまとめていた。阪神・淡路大震災から間もなく25年の時を経た実践である。当時の地域の人々の話が子供たちに大きな影響を与えていたのが印象的であった。

過去を伝え、受け継いで、想定を超える新たな災害から自分や周囲の人々、地域を守っていく子供を育てることが防災教育の目的とするところである。

東日本大震災以降、全国において災害安全に関する取り組みが充実されてきたが、地域や学校・教職員間で意識に差があるとともに、継続性が確保されていない状況もみられると言われている。

学校や地域の地理的条件が違うことから安全・安心を決め込み、防災教育への取り組みがおろそかになってはいないか。今日、温暖化が不安視され、気候変動が激しく、風水害などが大きく、深刻になっている。言わずもがな、わが国は世界でも有数の災害大国であることの確認が必要だ。今は不安がなくても、いつ、どこで災害に出合うか分からない。

そのために、自然災害の危険に際して自らの命を守り抜くための「主体的に行動する態度」や「安全で安心な社会づくりに貢献する意識」を育む防災教育の推進を徹底したい。

小学校では次年度完全実施の教育課程において防災教育をしっかりとカリキュラム・マネジメントの三つの視点で位置付けよう。教科等横断的な視点では、学習指導要領解説の総則編の付録に「防災を含む安全に関する教育(現代的な諸課題に関する教科等横断的な教育内容)」が示され、防災教育に関する教科等の内容が一覧になっている。これを関連付けて活用しよう。

地域の教育資源については、まさに家庭・地域と一体になって確実に進めるようにしよう。PDCAサイクルの確立では、これまでの防災教育を評価し、子供の未来の視点に立って見直しを図っていこう。

新教育課程編成をよい機会とし、これまでの自校の防災教育を見直し、子供たちの防災意識、自助・共助・公助の思考力・判断力、社会貢献力などを高めていきたい。