教育課程の編成に当たって 実効性の高いカリキュラム・マネジメントを

教育新聞論説委員 工藤 文三

各学校においては、来年度以降実施される教育課程の編成の準備を進める時期を迎えている。学習指導要領の改訂を踏まえた教育課程の編成のポイントを考えてみたい。

教育目標の設定

今回の学習指導要領が資質・能力の育成を重視した構造をなったことを踏まえ、教育課程の編成・実施においてもこの目標の実現を図る仕組み作りに重点を置きたい。

教育目標の設定に当たっては、各学校のこれまでの教育活動の成果と課題を整理しつつ、日常の教育活動に具体化され、評価可能なものとなるようにしたい。

学習指導要領の総則には、①知識及び技能の習得②思考力・判断力・表現力等の育成③学びに向かう力、人間性等の涵養――の3つの柱が示されている。①②③は、各教科などの特質を踏まえて示されている。ただ、③については、教育活動全体を通じた取り組みとして具体化することが重要と考える。

「学びに向かう力」とは、児童一人一人が学習課題に意味を見いだし、没頭し追究する姿を想定することができる。この力を育てるためには、総則にも記載があるように見通しを立てたり、学習したことを振り返ったりする活動を工夫することが有効である。

「人間性」については、例えば学習や活動における児童相互の関係の中で、他者の理解、思いやり、洞察力、協調する姿勢、誠実な態度などが考えられる。このように具体的な姿を想定しておくことによって、学級運営や授業の展開の配慮事項が明確になる。

指導計画と全体計画

年間指導計画の作成に当たっては、当該教科などにおける主体的・対話的で深い学びの捉え方と授業への具体化の方針を冒頭で示す。見方・考え方を働かせることについても、学習指導要領の記載事項を手掛かりに、授業構成の方針として示しておきたい。主体的・対話的で深い学びなどの要請に対応できるよう、指導計画の様式を工夫することも考えられる。

次に、各単元の構成や配列を決める必要がある。これらは概ね教科書の構成によることが多いと推測される。ただ、従前の教育課程とほぼ同じ学習内容もあることから、これまでの児童の学習状況を整理し、単元内の授業構成と展開、時間の配分などに配慮した計画を作成する。単元終了時に、学習に遅れがちな児童が出ないよう、繰り返し学習や補充的な学習、きめ細かな学習評価などを組み込んでおくことも大切である。

また、学習指導要領に示されている道徳教育、総合的な学習の時間、特別活動の全体計画を作成する。道徳教育については、総則に全体計画に示すべき事項が記されている。特に各教科に関わる指導内容と取り扱いの時期については、各教科の指導計画の作成と連携しながら設定する。

通知表、学習評価

学習評価については、評価の観点が変更されたことを受け、通知表の見直しを行う。学期ごとに評価を記載する様式の場合、観点の記載内容は、指導要録の改善通知の別紙に記されている評価の観点とその趣旨および学習指導要領の内容、指導計画を手掛かりにして作成する。また、観点別評価を評定する方法もこれまでの取り組みを踏まえながら決定しておく。保護者への説明資料も作成しておきたい。

評価の観点の変更に伴って、観点にふさわしい評価方法をどう工夫するか、校内で方針について検討し、考え方を共有しておきたい。特に「主体的に学習に取り組む態度」の評価については、学習の目当て、学習の経過、学習の結果と振り返りなどを把握できるシートを用いる方法も考えられる。

学習評価によって把握された学習状況の分析と指導の改善に生かすタイミングや手立てについても共有しておきたい。指導と評価の一体化が定着し、実効性の高いカリキュラム・マネジメントが進められ、教育の質の一層の向上が図られることを期待したい。