児童をSNS被害から守る 危険は隣り合わせという意識を

教育新聞論説委員 細谷 美明

大阪市の小学校6年女子が栃木県に住む男に誘拐された事件で、きっかけとなったのがソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)だったことに衝撃を受けた関係者は多かっただろう。

警察庁が発表した2017年の「SNS等に起因する被害児童の現状と対策について」によると、SNSを介して犯罪被害に遭った未成年者(18歳未満)は1813人で過去最多となっている。そのうち相手と直接会い被害を受けた者も相当数存在するという。

会った理由としては、「金品目的」(29.6%)、「優しかった、相談に乗ってくれた」(22.9%)、「交遊目的」(17.0%)が上位を占める。年齢別にみると、上位は16歳(24.7%)、17歳(23.0%)、15歳(21.4%)であるが、13歳が増加傾向にある(10.9%)。スマホの所有が低年齢層に拡大していることも影響しているものと思われる。

SNSの種類では15年まで1位だった「チャット系」に代わり「複数交流系」が最多となり、サイト別では「Twitter」が38.3%と圧倒的に多い。

デジタルアーツ社の調査(19年5月)によれば、小学生のスマホ保有率は前年から16.5%も増加し90.8%となった。前年(18年1月)の調査では気になる結果がある。「ネット上の友達」と連絡を取ったことがある女子児童(小学4~6年生)は27.2%、そのうち「もう少し仲良くなれば会ってみてもよい」(36.0%)「十分仲良くなったので会ってみたい」(8.0%)「既に会っていてこれからも会いたい」(12.0%)と実に半数以上の女子児童が会うことに拒否感を示していない。

大阪市の小6女子が顔も知らない男性の誘いに乗って遠く離れた栃木県まで付いていく理由の裏付けになるようなデータだ。

以上のようなデータから、類似した事件がこれからも続発するであろうことは予想ができる。保護者も学校もこうした昨今の子供事情を十分理解しながらSNS対策に臨むべきだ。

SNS対策でまず行うべきなのが家族間でのルール設定だ。警察庁が示すルール例には、「接続するサイトやダウンロードするアプリは保護者に確認する」「知らない人と電話やメール、メッセージの交換をしない」「ルールを守れなかった時のルールを決める」などがある。しかし、大阪の女子児童のようにこまめに保護者がチェックしていても気付かないケースが出てくる。

そこで次に行いたいのが、スマホに見知らぬ人間との接触を拒む設定をすることだ。一般的なものにはフィルタリングがある。フィルタリングとはインターネット上のウェブサイトなどを一定の基準に基づき選別し、青少年に有害な情報を閲覧できなくするプログラムやサービスで、スマホ購入時に取扱店から説明を受けることになっている。

しかし、先のデ社調査によれば小学生の携帯電話のフィルタリング使用率は半分にも満たないという。フィルタリング以外でも、最近ではペアレンタルコントロールという機能が利用できる場合がある。これは子供のスマートフォンの利用を親が監視して制限する取り組みである。スマホの機種(会社)によってシステムが異なるので、購入したところで詳しい説明を受けることが大切だ。

このほか、SNSの種類によって独自のプライバシー保護設定機能がある。しかし、こうした防御システムにはいずれも抜け道があるのも事実。各機能について保護者が販売店などから詳しい説明を聞くのが大前提であり、子供に買い与える保護者の義務であろう。学校関係者もこうした情報を常に収集する必要がある。

常に危険は隣り合わせだという危機意識を、大人も子供も十分認識して冬休みを迎えたい。

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