主体的な学びの実現 4つの観点で授業改善を

教育新聞論説委員 寺崎 千秋

資質・能力育成のため、日々、毎時の授業の質の向上、効果的な指導の実現、すなわち「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」が求められている。授業改善のために中教審は、「主体的な学び」「対話的な学び」「深い学び」の三つの視点(=授業改善の固有の視点)を示し、そのポイントを例示した。

「主体的な学び」は目新しいものではなく営々と説かれ実践されてきたものである。今回の改訂は、その仕上げとも言われるように一層重視している。学習指導要領自体を「教えの地図」から「学びの地図」と標榜(ひょうぼう)するように、あるいは「学びへの構造転換」などとも言われるように、子供の主体的な学びの実現を重視している。

「主体的な学び」の視点として「学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、見通しを持って粘り強く取り組み、自己の学習活動を自ら振り返って次につなげる」と示されている。

分析的にみれば「学ぶことへの興味・関心」「自己のキャリア形成の方向性と関連付け」「見通しを持った粘り強い取り組み」「自己の学習活動の振り返り」をポイントとして捉えることができる。

移行措置の2年間、校内研究・研修の助言者として98の授業を観察した。校内研究・研修の目的・目標を視点にするとともに、授業改善の視点「主体的な学び」の4つの観点を加えて観察し、その課題と解決策を考えてきた。以下は要点である。

「学ぶことへの興味・関心」を持たせる、湧くようにする、確認するなどは、学習の出発点として当然のことだが、意外とできていないケースが多い。本時の目当てや課題を提示するとすぐに展開の活動に入っていく。まさに子供不在の教師中心の展開となっていく。もっと子供の声を聞き、目を見て、これからの学習、提示する教材や学習活動に興味・関心を持たせ、学習への動機付けや意欲向上に配慮する必要がある。

「自己のキャリア形成の方向性と関連付け」は、教師の思いや願い、考えが先行するあまり、子供の興味・関心、学習や生活の目標、学び方、見方・考え方など、一人一人の個性や特色を把握し、それらを学習に生かしたり発揮したりできるようにする点を見失っている場合が目立つ。実態把握をして全体の傾向を把握しているが、個々の良さや課題をもっと授業・学習に結び付けて考えるようにしたい。

「見通しを持った粘り強い取り組み」は、本時の学習計画や学習予定を示すケースが増えている一方で、授業・学習の導入で提示する、確認する、みんなで作るなどの学習課題を個々が把握したか、確認が不十分となっている。特に学習課題の中のキーワード、例えば「工夫、名人、調べる、まとめる、整理する」などの意をくみとれないまま活動に入る場合が多い。

日本語だから分かっていると思ったら大間違いである。しっかりとした確認が必要である。さもないと学習の見通しが立たず、粘り強い取り組みができないことを子供が実証している。

「自己の学習活動の振り返り」は、目当てや課題の実現状況、学び方、協力などの振り返りの観点を示さず、ただ反省を書かせることが多い。その後、2、3人に発表させて教師が感想を言うなどおざなりになっている。

1分でよい、この時間の学習の意味や意義が何だったのかを子供が実感できるような、教師の一言がほしい。振り返りにより自分の学びを自覚し、次につなげる視点や意欲を持てるようにしたい。

この4点は難しいことではない。要はこの観点をもって実践を確実に行い、自らもこの観点で研修することが授業改善につながるのである。

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