新しい授業観で意識改革 学力向上、働き方改革の推進も

教育新聞論説委員 細谷 美明

試行錯誤の1年に

4月から小学校で新学習指導要領に基づく教育課程が本格的に実施される。「主体的・対話的で深い学び」による授業改善はもとより、新しく加わる英語科やプログラミング教育、さらに地域の幼稚園・保育園や中学校との交流・連携をはじめとする地域の教育資源を活用し展開する「社会に開かれた教育課程」など、移行期間があったにせよ試行錯誤の1年となるだろう。

それに伴い、近年急増する若手教員の質の向上・育成が管理職にとって大きな課題であろう。

中学校は、21年度に新教育課程の本格実施が予定され、20年度は移行期間最後の年になるが、本質的には小学校と変わりはない。

中学生は、発達段階上、認知面では論理的思考力が発達し、心身面では第二次性徴期を迎え体力・運動能力の発達や思春期独特の悩み・不安が急激に増加する時期である。従って、授業改善により小学校以上に実社会で役立つ能力である汎用的能力を高める必要がある。

そのためには、生徒や地域の実態に応じた課題―防災、環境、人権など―を設定し、教科等横断的な学習を教育課程の中に的確に位置付けることが求められる。そしてそれは、「社会に開かれた」視点の教育課程でなければならない。

高等学校は、大学入学共通テストの国語などの記述式問題や民間による英語試験の導入で混乱が生じているが、22年度より年次進行となる新学習指導要領の準備は粛然と進めていかなければならない。

特に、探究活動を取り入れる各教科等の授業改善である。さらに、それに連動した多様な評価活動の導入である。大学入学共通テスト導入の目的も、従来の高校の授業観・評価観の変革に端を発している。

管理職は自ら新しい授業観・評価観を認識し、校内での教員の意識改革をはじめとする学校改革を行うとともに、地区内にある教科等の研究会を主導し、新しい授業観・評価観をもった教員をより多く育成することに力を注ぐべきだ。

教育には人が不可欠をアピール

最後に各校種に共通する課題として、学力向上と教員の働き方改革に焦点を絞り、この1年間の教育界の展望と学校の対策を論じたいと考える。

学力向上、とりわけ先の「PISA2018」で露呈した読解力対策について考えてみたい。詳細は別稿で述べようと思うが、「読むこと」「考えること」「表現すること」、つまり読書活動と読書したことを生かすさまざまな形での表現活動の推進を提唱したい。

具体的には、地域や学校にある図書館・図書室において中・高校生による幼児・児童を対象とした読み聞かせ会、さらにブックトーク、ビブリオバトル(書評合戦)、アニマシオンなどの活動である。これは国が進めている第4次「子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」にも盛り込まれている。ここにも学校が主導し地域や各関係機関・団体と連携するといった「社会に開かれた教育課程」のマネジメントが管理職に要求される。

教員の働き方改革については、昨年の12月4日に付帯決議を盛り込んだ改正給特法が成立したが、全国の教職員からの反対署名活動を見ても、内容的に教員の働き方が改善されるには不安要素が数多くあることは事実だ。

国は、3年後にその成果を図るための実態調査を実施するようだが、その間、学校は付帯決議に記されている事項を確実に実施し、その経緯および結果を記録しておくことが大切だ。おそらく実態調査では教員の働き方が根本的に変わるといった結果は出ないであろうから、その際の結果分析を行う際にこれらの経緯・結果の記録は大いに役立つものと思う。

そして、働き方改革の最終目標である超過勤務手当や調整手当などの給与制度の見直しと、教員の持ち時数軽減を主軸とした定数改善のための義務標準法の改正に向けた資料作りを行うべきである。

教育には人が不可欠であることをアピールする1年間となるであろう。


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