教員のわいせつ行為 厳罰化で社会の信頼を取り戻せ(細谷美明)

教育新聞論説委員 細谷 美明

昨年12月に文科省から2018年度の人事行政状況調査の結果が発表された。特に注目を集めたのが、教員のわいせつ行為により懲戒処分を受けた教員の数が前年度より増加し過去最多となったことだ。今年度、小学校教員採用選考の倍率が過去最低となり、教員の質の低下が指摘される中での数値だけに、危機感を持つ関係者は多い。

わいせつ行為による被処分者は282人で、前年度の210人を大きく上回った。校種別人数は小学校75人、中学校86人、高校101人で、被害者の44%が自校の児童生徒であった。被処分者の年齢層は20代が71人と、教員総数に占める割合はトップであった。

わいせつ行為が行われた場面は、「勤務時間外」が63.8%で最も多い。だが「放課後」(10.3%)「授業中」(6.7%)「部活動」(6.0%)「休み時間」(5.0%)と3割近くが勤務時間内の校内で行われている事実に、管理職は危機意識を持つ必要がある。

わいせつ行為による被処分者はその後どうなるのであろう。現在の教育職員免許法では、教員が懲戒免職処分を受けた場合、保有する免許は失効することになっている。

しかし、失効しても3年たてば再交付が可能で、免職であれば官報に掲載されるが、それ以下の処分歴は本人の自己申告でしか分からない。

また、被害者が子供で、加害者が教員という関係から、被害者が警察に被害届を出さないケースが多く、その結果、刑事処分が行われず、数年後には別の地域で加害者が教壇に立っている場合もある。

13年に児童ポルノ事件で県教委より停職処分を受け依願退職していた埼玉県の小学校教諭がその後、愛知県の公立小学校で臨時講師に採用され、教え子にわいせつな行為をし懲役4年の実刑判決を受けた事案があった。そのとき加害者は愛知県教委には依願退職していた経歴を隠していた。

このように、わが国の教員免許法は被害者やその家族に寄り添った内容とはなっていない。それにもかかわらず、今回の文科省の発表で明らかになったのは、いまだにわいせつ行為をした教員に対し、懲戒免職以外の余地がある基準となっていたり、そもそもわいせつ行為に関する処分基準を定めていない教育委員会が存在したりするといった事実である。

性犯罪者の再犯率が高いことはもはや定説となっている。それほど性犯罪者の矯正は難しい。だからこそ他の職種以上に高い倫理観を求められる教員がわいせつ行為をした場合、行政は再び教壇に戻すことをしてはならない。

今回の結果を受け、文科省はわいせつ事案が減少している教育委員会に対して取り組み状況のヒアリングを行い、各教育委員会の人事担当者を集めた研修会において優良事例を共有するとともに、わいせつ行為に関する処分基準がない、あるいは厳格でない教育委員会に指導するとしている。

わいせつ事案が増加している状況では当然の対応であろう。

それ以上に緊急に国が行わなければならないのは、被処分者が教員に復帰できる現行法の改正である。昨年10月の国会で萩生田文科相は専門家の意見を聞きつつ検討するという趣旨の発言をしているが、悠長な姿勢は許されないであろう。

また、処分の厳格化とともに処分歴のある教員に関する情報について、教育委員会相互、ならびに警察との連携が円滑に行われるよう、共有化するシステムを早期に実現し、教育委員会に対する支援体制を確立することだ。

それが子供を持つ保護者と社会全体から信頼を獲得する行政の責務であり姿勢である。


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