カリキュラム・マネジメント再考 実効性の向上をどう図っていくか(工藤文三)

教育新聞論説委員 工藤 文三

課題を踏まえ進め方を考える

カリキュラム・マネジメントというが、新学習指導要領に用いられて以降、以前に比べて広く聞かれるようになった。学習指導要領に記されたことについては、高く評価する意見もあれば、おおむね学校教育では以前から実施してきていること、といった意見も聞かれる。

この言葉は学習指導要領という「お墨付き」を得て頻繁に使用されるようになる。ただ、学習指導要領には包括的な内容が記されているのみであり、カリキュラム・マネジメントといってもそれが何を指しているのか、判然としない点が多い。カリキュラムという用語自体が幅広い内容を含むことに起因する問題でもある。

さらに、学校教育法、学校教育法施行規則に基づき実施されている学校評価についても、カリキュラム・マネジメントと関連する内容がみられる。

2016年に改訂された学校評価ガイドラインでは、評価項目・指標等を検討する際の視点を示しているが、その一つに「教育課程・学習指導」が挙げられている。内容は「各教科等の授業の状況」と「教育課程等の状況」の二つ。いずれも「カリキュラム」に該当する視点である。

各学校の立場からすると、その時々で新たな取り組みが求められ、実施せざるを得ないが、関連・重複する事項も多い。これらの課題を踏まえたとき、カリキュラム・マネジメントをどのように進めればよいのであろうか。

当事者ごとに課題を捉える

カリキュラム・マネジメントの実効性を高めるためには、まず当事者ごとに事柄を捉え、取り組み内容を明確化する必要がある。校長の場合、教育課程編成の基本方針や指導の重点、地域の要請や児童生徒の実態などの把握の判断、教員の経験や指導力を踏まえた配置などが対象になる。また、学校施設の整備や教育環境に関わる現状と課題の把握、改善の方向性を見通すことも必要である。

次に、教育課程編成の実務を担当する教務担当者にである。

教育課程編成の要素である、授業日数や授業時数、各教科の年間指導計画の様式や取り扱い、学習評価や指導要録の取り扱いなどが対象となる。全体計画の作成と実施も対象となる。カリキュラム・マネジメントの視点から考えると、計画―実施―評価―改善のサイクルを、年間を通じて計画し、各教員を支援する実効性の向上が必要である。

各教科の授業を担当する教員の立場では、年間指導計画、単元計画、授業構成の考え方、学習評価などが対象になる。自校の指導の重点が反映された計画になっているか、主体的・対話的で深い学びを踏まえた単元計画になっているか、指導と評価の一体化の視点から指導計画が作成されているか、といった視点が必要である。中でも、授業の振り返りと授業の改善が円滑に行えているかどうかが重要な点である。

カリキュラムの要素と階層を踏まえる

カリキュラムの要素・条件には、教育目標や教育計画、指導計画と全体計画、授業時数、学校規模や学級規模、指導形態と指導体制、学習評価、教材や教具、教育施設・環境などが挙げられる。

カリキュラムを階層として捉えると、学校としての教育計画、全体計画、各教科などの指導計画、学年や学級の経営計画、生徒指導や進路指導の年間計画、単元の指導計画、授業の計画などに分けられる。学校としての教育計画の下に、全体計画、各教科の指導計画、生徒指導・進路指導などの計画が位置付く関係になっている。

これらのマネジメントに当たっては、学校教育目標や指導の重点を受けた計画とその実施状況・実現状況を把握する必要がある。また、それぞれの指導計画と全体計画とが円滑に連動し、効果が上がっているかという点もポイントになる。


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