学校再開 長期休校も視野に入れた対応策を(藤川大祐)

千葉大学教育学部教授 藤川 大祐

新型コロナウイルスの世界規模での感染拡大が進んでおり、連日状況が変わっている。日本においては、2月末に安倍晋三首相から小中高校などの一斉休校の要請がなされ、ほとんどの学校が3月に臨時休校措置をとった。

本紙電子版3月24日付で報じられているように、同日、文科省より学校再開に向けたガイドラインが示され、各地で学校再開の準備が進められていると思われる。今回は学校再開に向けて留意が必要なことについて、考えたい。

日々さまざまな判断が必要

まず重要なのは、地域や学校として学校再開に向けた方針を策定し、この方針に沿って学校再開を進めていくことである。

学校再開となっても、感染拡大防止に最大限の配慮が必要である上に、学校内で感染者が出た場合や地域で感染者が増えた場合に、再度の休校措置をとるなどの対応が必要となる。学校レベルでも個々の教職員レベルでも、日々さまざまな判断が必要になる。

そうした判断が場当たり的なものとなれば混乱は必至だ。一定の方針に基づいて日々の判断がなされるようにしておく必要がある。

方針の中では、基本的な考え方、日常の授業などにおける感染拡大防止策、学校行事などに関する対応策、校内で感染者が出た場合や教職員・児童生徒が濃厚接触者となった場合の対応策といったことを定める必要がある。

教育上の必要性を勘案して

次に、基本的な考え方を定める必要がある。例えば、教育上必要なことは感染拡大防止策をとった上で実施し、そうした策がとれない場合には延期または中止する。教育上必要とは言えないことは原則として延期または中止する。国や都道府県から方針や要請がなされた場合には、具体的な対応策を検討した上で、方針や要請に従うことも定めておくべきであろう。

日常の授業などにおける感染拡大防止策としては、密閉・密集・密接の3条件が揃う状態を確実に避け、手洗いや換気の徹底、近距離での会話などの際のマスクの使用を定めることが必要である。

毎日の検温などの健康チェック、発熱などの症状がある場合の自宅待機、医療的ケアが必要な児童生徒への対応、海外から帰国した児童生徒への対応、ストレスマネジメント、感染者などへの偏見や差別の防止、昼食時の机の配置、共用品(タブレット端末など)や特別教室の衛生管理などについて、具体的な策を定める必要がある。

あわせて、3月の休校の際に扱えなかった内容をどのように補うかも検討する必要がある。

学校行事に関しては、式典、運動会、校外学習、合唱コンクール、保護者会、PTA活動などについて、対応策を定める必要がある。こうした対応については、各行事の担当者と管理職でよく相談し、事前の準備・練習の段階から密閉・密集・密接を避けられるかを検討した上での対応策が必要である。

内容の変更、規模の縮小、見学者の削減といった事項を具体的に検討し、教育上の必要性を勘案して、実施か延期か中止かの方針を決め、実施の場合には必要な対応策を確認する。ただし、延期の場合にはいつ実施できるかの目処が立ちにくいことに留意する必要がある。

さらに、校内で感染者が出た場合や、教職員・児童生徒が濃厚接触者となった場合の対応策も考えておかなければならない。感染者が出た場合には状況に応じて学級閉鎖、学年閉鎖、休校といった措置をとること。感染者は治癒証明が得られるまで休暇あるいは出席停止。濃厚接触者は接触から2週間の自宅待機。こうした対応を定めておく必要がある。休校や教職員の自宅待機等の事態が起こる場合を想定し、教職員の業務を複数で共有しておいたり、遠隔学習の準備をしておいたりする必要がある。

前向きに進められる雰囲気を

以上のような方針を定めた上で、各学校において教育上必要なことを前向きに進められる雰囲気をつくり、児童生徒とともに感染拡大防止に努めながら日々の生活を充実していくことが求められる。こうした中で、これまで当然のようにやってきたことの意義が見直されたり、遠隔学習のような新しい取り組みを試行したりすることが進めば、新型コロナウイルスの影響が収束した後にも生かせることが多くなるであろう。

ただし、3月下旬より首都圏を中心に新型コロナウイルス感染が確認された人の数が目に見えて増えている状況を考えると、予定通り学校再開ができるのかは予断を許さない。再び一斉休校措置が必要になることも考えられる。

一定の割合で感染が進む場合、当面、感染者数は指数関数的に増加するのであり、よほどの封じ込めができない限り、日が経つにつれ感染者数の増加が加速していくのは避けられない。もうすでに、これまで以上に強力な封じ込め策が必要な段階に至っているのかもしれない。

私たちがすぐに数カ月以上にわたる長期の一斉休校措置への対応を検討することになる可能性は、決して小さくない。


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