「2学期から登校」「1人1台前倒し」なども検討を(鈴木崇弘)

城西国際大学大学院教授・日本政策学校代表 鈴木 崇弘

学校再開の目安問題

安倍首相の要請を受け、全国の小中高と特別支援学校が一斉休校に入った。日本は他国に比してコントロールできている印象があるが、新型コロナウイルス感染症の世界的広がりを受け、卒業式などが縮小・中止となり、全体として学校再開が不明な状況にある。また教育現場や家庭では、さまざまな問題や課題も生まれてきている。

そんな中、政府の専門家会議が3月19日に出した報告を基に、安倍政権は4月再開の指針を示した。

だが世界の状況を見る限り、感染症の広がりはいまだ予断を許さない状況にあるというのが正しい判断だろう。今回の方針は不安解消には意味があり評価したいが、時期尚早の感もある。

別の視点からの考察

もちろん、早く感染症が収まり、すでに起きつつある問題が拡大せず、教育格差などの新たなる問題などを生まないためにも、早く学校が再開されることは期待している。

他方で最近は、別の選択肢もあるのではと考えている。安倍政権で進められている「働き方改革」を思い出していただきたい。

同改革は2017年の当初から安倍政権の肝いりで始められた。成果は徐々に生まれてきているが、日本社会や日本人のライフスタイルやエトスなどにも関わるために、ゆっくりとした進展しか起きてきていない。

ところが今回は日本社会に大きく影響し、各企業などは大変革を迫られた。ICTなどを活用した自宅勤務・リモートワーク、短時間勤務などの新しい働き方が、非常に短期間に確実に広がった。この1~2カ月の動きは、これまでの数年間の変化を完全に追い越している。

新たな提案

現状からすると、感染症の拡大はまだまだ予断を許さない。

21世紀に入ってから、「重症急性呼吸器症候群(SARS。2002年~2003年ごろ)」や「中東呼吸器症候群(MERS。2012年ごろ)」などがあったが、世界のグローバル化が本格的になった後に起きた今回の事例は、ある意味初めての事象であり、人類がマネージできるかどうか不明な点も多い。

他方、いつ開校できるかを長期に不明にして引き延ばした状態もよくないであろう。

そのようなことを踏まえて、次のことを提案したい。

  • 2020年度は少なくとも専門家会議の見解における3分類の内、「拡大傾向にある地域」では、完全な登校での学びは2学期からにする。
  • 1学期は、学校への登校などはせず、短期的には民間事業者やNHKなどの教育コンテンツを活用し、教員はICTなどを通じて、サポートする。
  • GIGAスクール構想に示されている、小中学校1人1台PC割り当ての前倒しおよび無料WI-FI使用を可能にし、本格的なオンライン学習環境を緊急整備する。
  • 「教育改革」を「働き方改革」と密接に連動させて、対応を検討する。
  • 以上の経験から生まれる成果を、教育や社会の全体に生かす。

これと並行して、新型コロナウイルス対策のワクチン開発と製造を秋までに行う。

また、この政策の採用で生まれる教育格差や育児・養育などのさまざまな問題は、迅速かつ的確に別途対応する。

これまで教育やその方法における変革はその必要性が叫ばれながら、遅々として進まなかった。しかし今回、教育面でもさまざまな試みがなされ、変化が生まれている。そこで、これらの問題・課題そしてピンチを梃(てこ)にして、ICTなどの活用で日本の教育を大きく変化させてはどうだろうか。

付言しておくが、筆者自身、教育機関で教鞭(きょうべん)をとる者として、生徒や学生が集合し学ぶことの重要性や価値を理解しており、それらを否定してはいない。


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