休校長期化 「学びを止めない方法」を学ぶ機会に(中原淳)

立教大学教授 中原 淳

新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)による臨時休校が続いている。政府の緊急事態宣言は一カ月間を目処としているが、先行きは不透明である。また、学校が再開されても、生徒や教職員に感染者が出れば、再び突然の学級閉鎖、あるいは学校全体の休校に陥ることも予想される。

われわれはこの事態に、短距離走ではなく長距離走のつもりで挑む覚悟を決めなければならない。子供たちの学びを止めないために、今、私たち教職員が学ぶべきことを考えてみたい。

教職員のITスキルに課題感

ウイルスは、人と人との接触や繋がりによって感染が広がるソーシャルな病。爆発的な感染拡大を避けながら、長期間に渡ってこの事態と付き合っていくために、オンライン化を進めていくことは必須であろう。

一方で、働き方の研究者である筆者からすると、日本の教育機関や教職員を取り巻く職場のIT環境は、一般の事業会社で要求される水準に全く追いついていないと言わざるを得ない。

だからこそ、子供たちの学びを止めないために、政府は予算をつけて教職員が学校に来なくても仕事ができる環境を整備していくべきである。教職員も、自身のITスキルを高めるための学びの機会になるはずだ。

強烈なピンチは、むしろ変革のチャンス

筆者の大学では、休校が始まって以来、オンライン授業を導入するためにさまざまな実験を繰り返しており、現場の教職員は四苦八苦している。非常にチャレンジングな試みであるが、逆に言えば、このような危機的状況下でなければ、オンライン化を強力に推し進める機会は訪れなかったかもしれない。強烈なピンチは、むしろ変革のチャンスなのだ。

もしこれが、本当に1カ月間の休校だけで済むものであれば、誰も重い腰を上げなかったかもしれない。私個人としては、この状況は数カ月、ないしは1学期中は続くと腹をくくっている。入学して半年間も授業がないような大学は、翌年の入学者は来ないだろう。これは、学校の存続に繋がる危機なのだとも思う。

見えてきた3つの乗り越えるべき壁

実際にオンライン授業の実験を繰り返す中で、大きく3つの課題が分かってきた。

まず、通常の教室の授業と、オンラインで個々の学生をつないだ授業では、効果的な授業の進め方が異なる。ITを使った授業に長けていない教員のスキルアップは、早急に解決しなければならない課題である。

2つめは、環境面の課題。学校、教職員、学生の全てのレベルで、これまであまりITへの投資がされていないことが明らかとなった。つまり、みんなが安定的にオンライン授業へアクセスできる環境を持っているわけではないということだ。自分のPCを持っていない、あるいは、Wi-Fi環境を持っていないというケースは多い。オンライン授業はやり取りするデータ量が多いため、スマートフォンのテザリングでは到底無理であり、これらの環境を整えていかなければならない。

3つめは、オンライン授業でのモチベーションの保ち方である。工夫なく実施されるオンライン授業は、「昼ご飯を食べた直後のまどろみ」に似ている。オンライン授業は学生のモチベーションを維持していくことがとても難しい。よりたくさん問いかけていくなど、受け手のモチベーションやエンゲージメントを高めていく授業の仕方を開発していく必要があると感じている。

いかなる状況下でも学びを止めないために

他にもたくさんの課題があり、はっきり言って、日々大変苦労している。しかし、時間的猶予はなく、とにかくやるしかない。わたしも「当事者」であり「実践者」だ。

ITに対する苦手意識を持つ教員も少なくないかもしれないが、子供たちの学ぶ権利を保障するために、ぜひ今すぐにでも踏み出してほしい。現在は、無料で使えるツールはネット上にいくらでもあるので、まずは使用可能なツールで、誰かとオンライン会議をやってみることから始めてみると良いだろう。

現在の状況が長期化することを覚悟し、学びを止めない方法を、それぞれが模索しながら、ともに学んでみませんか?


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