ストレスに強い教員 育成は自己肯定感が大切(細谷美明)

教育新聞論説委員 細谷 美明

本来の業務以外でストレスが多い

昨年6月に続き、OECD(経済協力開発機構)による国際教員指導環境調査(TALIS)の2018年調査の(第2次)が3月23日に公表された。本紙でも3月30日号において詳細が報道されている。

今回は、「教員のフィードバック」と「教員・校長のストレス」に焦点を当てた調査結果の報告となっている。この中で「教員のストレス」について、「事務的な業務が多すぎること」が参加国平均46.1%(中学校のみ参加)に対し、日本の中学校が52.5%、小学校が61.9%。さらに「保護者の懸念に対処すること」が参加国平均32.0%に対し日本の中学校が43.5%、小学校が47.6%とそれぞれ高い数値を示している。

「校長のストレス」についても同様の傾向が見られる。

一方、「採点業務が多すぎること」「多大な授業準備があること」については、参加国平均と比べ特に低い数値を示している。それ以外の項目でも日本の数値は参加国平均と同等か低いものが多い。

今回の結果を総合すると、授業準備など教育者としての本来業務に対してはストレスを感じないが、それ以外の業務に関してのストレスは強く感じているというのが日本の教員の特徴と言える。

これは08年に東京都教職員互助会らが調査した「教員のメンタルヘルス対策及び効果測定」において仕事におけるストレスの有無を一般企業労働者と比較したデータと符合する。

この調査では「仕事におけるストレスがあるか」について「ある」と答えた一般企業労働者が61.5%いたのに対し教員は67.6%と高く、そのストレスの内容も「仕事の量の問題」が一般企業労働者32.3%に対し教員60.8%、「仕事の質の問題」が一般企業労働者30.4%に対し教員41.3%であった。

それと共に、「ストレスを相談できる人間がいる」について一般企業労働者89.0%に対し教員45.9%、「(相談者は)上司あるいは同僚」について一般企業労働者64.2%に対し教員14.1%というように、わが国の教員のメンタルヘルスを取り巻く環境はお世辞でもよいとは言えない。

求められるレジリエンス

4月から異動により新しい教職員を迎え管理職は、教員とりわけ退職や休職の割合が高い採用3年未満の教員に対するメンタルヘルスに配慮しなければならないが、どのような対策を考えているであろうか。

その一つとして最近企業などで話題になっているのが「レジリエンス」である。「レジリエンス」とは、「回復力」を意味し元来物理学で使われていた用語であったが、その後心理学や経営学などの分野でも使われるようになった。13年に開催された世界経済フォーラム(ダボス会議)の総会で、各国の国力を示す「レジリエント・ダイナミズム(強靭な力)」として使われ広く知られるようになった。

日本でも不況による不安定な社会の到来で優れた回復力や適応力のある人材が必要とされたことから、人材育成の観点で注目されるようになった。自己肯定感が弱いとされるわが国の若者にはまさに必要とされる能力と言える。

詳しくは昨年2月から本紙で連載されていた(一社)日本ポジティブ教育協会による「逆境に負けない心 レジリエンスを身に付ける」を参考にされたい。

このほか、いじめの指導として自分も相手も大切にする表現トレーニング法であるアサーショントレーニングや衝動的な怒りを抑制するトレーニング法であるアンガーマネジメントなども若い教員には有効だ。

これらの対策はいずれも本人の自己肯定感を養い、ストレスに強い主体的なコミュニケーションをとれる人材を育てる点で共通している。教育委員会が主催する若手教員研修や校内研修にも活用してもらいたい。


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