休校中もできることを 主体性が試される大人(妹尾昌俊)

教育研究家、学校業務改善アドバイザー 妹尾 昌俊

あなたは事なかれ主義ではないか

「新型コロナウイルスの感染が拡大する中、なんでも禁止、やらないというほうが楽は楽だが、それでいいとは、私は思わない」。ある公立中学校の校長から聞いた話だ。

十把ひとからげに論じるのは乱暴だが、これだけ新型コロナウイルスの影響が大きくなる中、校長あるいは教育長らの意思とリーダーシップによって、各地の対応が大きく変わっているようにも見える。例えば、広島県では、県と市町が連携して、小中高などでGoogleの教育支援サービスを活用し、休校中でも子供たちの学びをサポートしている。ある校長は、タブレットなどがない生徒のために、企業、NPOに提供してもらえないか交渉している。

もちろん、各地の予算や家庭状況などにも影響を受ける話ではある。とはいえ、最大限できることを進めようとしている校長らと、静観に近い人たちがいる。

「事なかれ主義」と表現すると言い過ぎかもしれないが、そういう人はあなたの周りにいないだろうか、あなた自身はどうだろうか。事なかれ主義な人は、学校にも教育行政にも、もともといたが、この危機の中、余計にそうした人の悪い部分が可視化されてきている。

熱心な教職員を腐らせていないか

例えば、ある熱意のある教員は、生徒たちを励まそうと、YouTubeに限定公開で動画をアップしたいと考えた。Zoomなどのウェブ会議システムを使って、生徒の悩みや近況を聞ける場を作りたいと考えた。だが、校長あるいは教育委員会からストップがかかった、といった話はたくさん私の下に寄せられている。

まっとうな理由で反対するならよいが、内容が大したことがない、できない言い訳ばかり言う人は困る。例えば、「市のセキュリティーポリシーで動画サイトの活用は禁止されているから」。なぜ、いま変更しないのか。「セキュリティーが心配だから」。

その心配は大事だが、ゼロリスクなことなどないし、日々アップデートしてセキュリティー対策も高度化している。個人情報や成績情報を扱うなら慎重になるべきだが、なぜ、教員が生徒に呼び掛けたり、ちょっとした質問に答えたりすることがセキュリティー上、大問題なのか。中教審を含む国の会議だって、いまやオンラインを活用している例もある。

心配なことはきちんと保護者と児童生徒に説明した上で、同意を得て進めたらよいだろうし、同意を得られない家庭や通信環境などがない家庭には別途、電話などでフォローすればよい。「全員が同じようにできないのは不平等だから」などと言って何もしないままでは、進捗(しんちょく)はゼロ。そんなことでは、家庭環境などによって、学力格差が広がり、結果的には不平等を拡大させてしまうのが、なぜ、分からないのか。

せっかく熱意のある先生がいても、校長や教育委員会がその気持ちをつぶしてしまっている例もある。これは後々まで禍根を残すし、諦めモードな人が増え、事なかれ主義者が増殖することにもつながる。もちろん、熱意だけで軽率な行動や空回りでもいけないが。

アナログ、オフラインでできることも多い

学校などができることは、何もオンライン上だけではない。

例えば、部活動の全国大会なども中止が相次ぎ、生徒たちの落胆はいかばかりだろうか。部活の練習はしないとしても、ソーシャル・ディスタンスを守って、短時間でちょっとしたミーティングをしてはどうか(ウェブ会議でもいい)。

休校中はドリル的な宿題だけでなく、絵でも粘土でも映像などでもなんでもいいから、児童生徒の作品を持ち寄り、学校でアートフェスティバルなどをしてはどうか(一度に集まるのではなく、複数日に分かれてバラバラと展示を見たらいい)。新入生は孤独だ。学級や学年でちょっとした自己紹介(自分の好きなことなど)と写真を集めて、文集を作ってはどうだろうか。

今回はややキツめに書いたが、いまは、学校や教育行政の職員が主体的に問題解決などに動く人材になれるかどうかの瀬戸際である。それができない人間が、子供たちに主体性や問題解決力などを求めるのは、おかしい。


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