オンライン化と教育格差は別問題(鈴木崇弘)

城西国際大学大学院研究科長・特任教授 鈴木 崇弘

大きな疑問

学校再開も含めさまざまな動きが出ているが、現在のような状況においては、オンライン授業の普及は特に重要なテーマの1つだ。文科省もGIGAスクール構想を進めているが、他方ではWi-Fi環境のばらつき、デジタル化に関する教員の能力格差など、多くの問題も生まれている。

「全校一斉に対応できない」「教育格差が生まれる」「教育の平等性が失われる」などの観点から、オンライン授業の導入がストップされたり、進んでいなかったりする事態もあるようだ。

筆者自身、デジタル分野が得意ではないし、オンライン授業導入のため、日々の学習やスキル磨きに悪戦苦闘している。また、対面授業の重要性や必要性も十二分に理解している。

だがオンライン化がなかなか進まないのは、多くの学校や教員が、先に述べた理由を盾にして、現状を変えたくない、あるいは変えるべきではないと思っているからだろう。

そもそも教育格差や教育の平等性とは一体、何を意味するのだろう。地域や学校、そして家庭のおのおのにおいて、実際には大きな違いが存在している。

現在のような全国一律の教育システムが、いわゆる教育格差を是正し、教育の平等性を担保していると考えられているのだと思うが、本当にそうなのかは大いに疑問に感じる。

できることを変化に生かせ

「教育格差を生む」「教育の平等性に反する」との観点から、オンライン教育を抑制・断念するのは、それが可能な学校と教員、子供らの可能性を奪い、逆格差を生んでいるということもできる。

教育として最低限、提供されるべきものはあるので、それは全ての子供たちに提供されるべきであるが、それ以外の部分は、地域、学校、教員、子供によって、もっと違う部分があっても良いのではないだろうか。

現実では学校再開などに関して、全国で異なる動きがでてきている。その動きは、多様な人材や地域を創り出していく上で、各地域や各学校が大変な中で独自に考え、工夫していることとして歓迎したい。

要は、個人(子供や教員)や地域、学校は、できないことに全員、全体を合わせるのではなく、個人や地域ができることから始めていくことが必要なのだ。

教育問題は、全国民が何らかの形で教育に関わった経験があるため、なかなか冷静かつ客観的な議論がしにくい。しかし今般のような非常時で危機的な状況だからこそ、教育の格差や平等性の問題に関する議論が、「そもそも論」として実は必要だと感じるし、国民全員が再考を迫られていると考えることもできる。

格差への対策と新しい可能性

最後に付言しておきたいことがある。それは、オンライン化などに対応できず、困難を抱える学校や教員、あるいは子供を見捨てていいと言っているわけではない――ということだ。

むしろオンライン化、ICT化、デジタル化を前提に、必要なサポートや環境の構築対策が必要だ。また、そのプロセスにおいて、多くの問題課題と障害が出てくるだろうが、政府はそれらに対応する仕組みやシステムをつくる企業の支援などもすべきだ。

それらの中から、日本発の新しいオンライン教育システムやイノベーションが生まれ、新しい可能性が見えてくることだろう。


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