学校再開 教員のバーンアウトも心配だ(妹尾昌俊)

教育研究家、学校業務改善アドバイザー 妹尾 昌俊

元気に見えても安心はできない

全国的に学校が再開してきている。分散登校などが続き、本格スタートと言い難い地域も少なくないとはいえ、約3カ月ぶりに子供たちに会えて、授業もできて、先生たちにも笑顔が戻っている学校も多いのではないだろうか。やはり、教師は、子供たちがいてこそ元気になる、と実感された方も多いと思う。

一方で、私は、子供たちと先生のメンタルヘルスも心配だ。「子供は気持ちをうまく表現できず、ストレス解消法も知らない。ニコニコしていても、抑うつ状態にある可能性がある」、「経験したことのない事態に遭遇すれば、誰もが緊張し、ストレスを感じる。教員のメンタルにも気を配る必要がある」という専門家の指摘もある(和久田学・子どもの発達科学研究所主席研究員、産経新聞2020年6月1日夕刊大阪版)。

教師のメンタルヘルスが心配な5つの理由

本稿では、教員の心理的負担について注目する。少なくとも、次の5つの点で負担が増している可能性は非常に高いと考える。

第1に、新型コロナによる不安とストレスが大きいことだ。私が教員向けにアンケート調査などを行ったところ、「一番怖いのは、自分のせいで児童生徒に感染させてしまうこと」、「基礎疾患のある同僚や児童生徒もいて、怖い」という声をたくさん聞く。

第2に、コロナ以前よりも児童生徒へのケアが難易度、複雑さが増していることだ。不登校気味や登校渋りになる子もいる。登校してきても、急に不安定になる子もいる。また、学習面でも休校中におそらく学力や学習意欲には差が開いているから、授業の進め方にも一層工夫が求められる。コロナに関係するいじめも心配だ。

第3に、本来業務である授業やその準備に集中しにくい環境になっている。消毒や検温、清掃などの負担が増していることはその一例だ。授業や給食、休み時間などでも、密接したおしゃべりをなるべく避けるようになど、コロナ前までは注意する必要なかったことにも気をもむ日々が続いている。

第4に、教員の裁量、自由さがどんどん小さくなっている政策動向がある。土曜授業の増加や夏休みの大幅な短縮、行事の中止などを教育委員会がトップダウンで決めている例も散見される。教委からの細かな指示も増えている。自分でコントロールできないことが多くなり、やらされ感が募ると、メンタル不調になりやすい。

第5に、職場環境だ。副校長・教頭や養護教諭らは、コロナ前からも忙しい職だったが、さらにきつくなっている学校も多いであろう。もともと教員は弱音やSOSを発信しにくい傾向があるのに、しんどい人を気付ける、気遣える人も少なくなっているのではないか。

7月以降が特に注意

おそらく学校再開後は気が張っているし、児童生徒との関係づくりも進み始める段階だから、教員のメンタルはまだいいほうかもしれない。私が心配なのは、数週間~1カ月たった後だ。

バーンアウト(燃え尽き)になったり、精神疾患になったり、過労で体調を壊したりする人が続出しないか、とても心配だ。

教育委員会や学校が、今からでも、進めておくべきことは多い。ここでは4つ、例示しよう。

第1に、教員の負担軽減に向けた施策を進めることだ。消毒や清掃を外部委託するなどが挙げられる。「子供のためだから」と言って、教員の業務を増やし続けるようではダメだ。学習支援員などの増員も必要だろうし、教頭や養護教諭に向けた支援も重要だ。

第2に、学校での過剰とも言える感染症対策はやめていくことだ。フェースシールドを着ける学校もあるようだが、ほとんど意味がないと言う専門家もいる。子供同士のおしゃべりなども過度に注意しては、互いに疲れる。

第3に、教育委員会や校長はマイクロマネジメントをやめることだ。細かい指示や報告を求めるより、もっと現場を信じてはどうか。もちろん、各学校任せでは非効率なことや問題があることには、教育委員会などが動いていく必要はあるが。

第4に、職員室などで、気軽に話や雑談ができる職場にしていくことだ。校内研修なども授業研は一度ストップして、若手らの悩み相談会にしてもいいかもしれない。

先生たちが元気なことが、子供たちの幸せにつながる。


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