学校再開 子供を新しい生活様式の主体者に(寺崎千秋)

教育新聞論説委員 寺崎 千秋

心、健康・体力面の配慮の継続

各学校の教育活動が全面再開となったが、新型コロナウイルス感染症の危機や不安が去ったわけではない。いつ第2波が襲ってくるか分からないなかでの全面再開である。

休業中の子供たちには心の面や体力健康面でのさまざまな課題が生じていること、学習面だけではなくこれらへの配慮や対応に学校・教師が苦慮していることが報じられていた。心の面や体力・健康面への配慮、見守り、対応は、個人差も大きいので今後も家庭や地域と協力・連携しながら継続していくことをお願いしたい。

正しい理解と冷静な行動

学習の遅れを取り戻す中で、忘れてはならない指導事項がある。新型コロナウイルス感染症に関する正しい知識・理解を身に付けることである。

未曽有の状況を生み出した感染症はどのようなものなのか改めてきちんと学習し、全員で共有する。これにより、「密閉・密集・密接」の3密を避ける理由や、マスクの着用、手洗いの励行などリスクを避ける行動が重要なわけも理解できよう。

すでに保健や特別活動などの授業で実施している様子も報道されているが、全ての学校、学級で発達段階に応じて計画的、組織的に実施したい。養護教諭に任せて済ますのではなく、全ての教師が学習し、その成果を子供たちに伝え共有し、もって冷静な行動につなげるようしたい。

差別や偏見を許さない

正しい知識・理解と冷静な行動は偏見や差別を生み出さないための必要な条件でもある。感染症拡大の状況の中で、病院や特別養護老人ホームの関係者や感染した人々などへの偏見や差別が各地で起こった。新型コロナウイルス感染症の恐ろしさ、感染の不安などが先行し、正しい知識・理解を身に付け冷静に行動することができないためである。

偏見・差別の行為には多くの人々が心を傷めている様子が報じられていた。病院関係者などへの拍手や手紙での応援は各地で盛んに行われ、関係者を励ましていた。子供たちにこうした事実や人々の行為・行動に向き合わせ、どう受け止め考えるか、保健体育や特別活動、道徳などの授業を関連させて人権教育の学びを深めたい。

主体的な生活づくり

新しい生活様式にあった環境づくりを進める中で特に大切にしたい点がある。子供たちに新たな生活様式を単に「与えて・させる」といった受け身の学校生活にならないようにすることである。

感染症対策などで子供たちは窮屈な生活をしている。我慢しているだけではもたない。子供たちは本来自分でやりたい、自分からやりたいと言う思いが強い。その気持ちや意欲を引き出し、新しい生活様式づくりの主体者に子供たちがなるようにしてほしい。

今、コロナ対策で求められている新しい生活様式をしっかりと理解しながら、より過ごしやすい環境づくり、より学びの喜びを実感できる場づくりを、自分たちのアイデアを出し合ってつくり出していくようにしたい。

特別活動を核にして

相談、話し合い、そして実践の核となるのは特別活動の学級活動だ。学級活動の目標に「学級や学校での生活をよりよくするための課題を見いだし、解決するために話し合い、合意形成し、役割分担して協力して実践したり」などとあり、「学級や学校における生活づくりへの参画」を重視している。

学級活動を核にして、子供たちが3密を避けるなかで学習が成立し発展するようにするには、どのような工夫をすればよいか考えてアイデアを出し合い、話し合い、みんなで学びや生活を作っていくようにする。

現在の状況が大変なことは子供たちも分かっている。そのような中だからこそ状況を自分事とし、希望や喜びのある楽しい学校生活を子供たちが自分たちの手でつくっていくようにする指導・支援が望ましいと考える。

また、こうした取リ組みは「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」の取り組みと合致し基盤となると考える。先生方にお願いしたい。この状況を子供と一つになって乗り越え、新しい生活をつくっていくことを。


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