教育課程の再編成 「学びの保障」を担保するために(細谷美明)

教育新聞論説委員 細谷 美明

カリキュラム・マネジメント面での問題

新型コロナウイルス感染拡大による長期間の学校休業に伴い、文科省は子供たちの学習保障に関する方向性を示した通知文を5月15日に各都道府県教育委員会宛てに発出した。その結果、各学校では学校再開後の今年度および来年度以降の教育課程の再編成に取り掛かっている。

高校入試を控える中学校3年生については、文科省から別の文書で入試での出題内容への配慮の要請があったことから、当該の生徒ならびに学校関係者は胸をなでおろしているであろう。これにより来年度から新学習指導要領が本格実施となる中学校では今年度も含めた3年間を見通した教育課程の再編成を本格化していくこととなる。

まずは、①各教科などの学習内容の調整②学力などの生徒の実態に関する調査データの確保③指導に当たる外部人材の確保と調整――といったいわゆるカリキュラム・マネジメント面での問題をどうするか、対応していかなくてはならない。

新学習指導要領は、社会や世界の情勢を幅広く視野に入れ、地域社会との協働・連携を図った「社会に開かれた教育課程」を目指している。

①については教科等横断的な視点の学習活動をどうするかといった内容的な問題とともに、③の地域人材との接触や生徒の地域社会での活動への配慮といった感染防止対策面での問題がある。

②については、全国学力・学習状況調査が中止となり、生徒の学力だけでなく生活習慣などの数値データがないため前年度との比較ができず困惑している管理職も多いだろう。

小学校からの学びを継続して育てる

文科省では、6月30日に「新型コロナウイルス感染症対策に伴う児童生徒の学習保障に向けたカリキュラム・マネジメントの取組事例について」を発表した。5月15日の通知文を受け、各地域や学校から提供された情報をまとめたものだ。今後、こうした情報が逐次提供されると思われるので、各教育委員会や学校は参考にするとよいだろう。

教育課程の再編成以外に中学校が抱えるもう一つの課題は、来年度からの「主体的・対話的で深い学び」の推進である。感染症による大幅な教育活動の遅延があったからといって旧態依然の授業のままでよいと考える管理職はいないはずである。来年、新しい教科書も配布されれば、そこには「主体的・対話的で深い学び」を意識した工夫が各所に施されているはずだ。

小学校から入学してくる新入生はすでに「主体的・対話的で深い学び」を1年間とはいえ経験している。そうした彼らを継続して育てるためにも、本来の準備は粛々と進めるべきである。

メタ認知の発達を踏まえて

先日、ベネッセ教育総合研究所からある調査の結果が発表された。「小学校高学年の学びや保護者の関わりに関する意識と実態」というテーマで昨年7~8月にかけ実施されたもので、調査対象は全国の小学校4~6年生とその保護者である。調査目的は小学校高学年の子供のメタ認知の実態やメタ認知と学習方略・動機付け、さらに学力との関連を見たものである。

それによると、小学生は学年が上がるにつれメタ認知が発達しメタ認知的方略も獲得していくという。具体的には、「自分の勉強のやり方がうまくいっているか考えながら勉強している」小4が32.5%、小5が35.4%、小6が43.9%、「人との会話時に相手が自分の言うことをあまり理解していないと感じたらもう一度分かりやすい言葉で説明し直す」小4が54.7%、小5が58.4%、小6が62.2%、「図や表に書いて考える」小4が39.6%、小5が44.8%、小6が49.7%――など。

これらの数値を見て言えることは、小学校における「主体的・対話的で深い学び」の指導が適正に行われているということだ。ここ数年の小学校の努力に敬意を表したい。こうした小学生を受け入れる中学校は、この事実を十分理解し小学校から贈られる宝物を大切に育ててもらいたい。


関連