大学の9月入学再考 4月と9月の年2回入学に(鈴木崇弘)

城西国際大学大学院研究科長・特任教授 鈴木 崇弘

続く議論と疑問

新型コロナウイルスの感染拡大による休校長期化を受けて浮上した9月入学(秋季入学)への移行について、政府は7月20日、首相官邸で開いた教育再生実行会議で、関係府省の次官級協議が整理した15項目にわたる課題を公表した。議論の進め方については「『学びの保障』とは切り離して、ポストコロナ期の学びの在り方について検討していく中で、議論する」と位置付けた。

筆者の所属大学もそうだが、全国には9月入学を認めている大学や学部が、実はすでに結構存在している(注1)。

また世界をみると、9月入学の国々が多いのは事実だが、4月あるいは9月以外の時期に入学を行う国もある(注2)。

これらを考慮するとともに、筆者の所属大学での実体験などを踏まえると、大学を画一的に9月入学にする必要はあるのかと思う。

年2回案

それよりもむしろ、入学は4月と9月の年2回にして、その経験を踏まえて、各大学がどうするかを個々に考えてみるのがいいのではないか。その方が問題・課題やフリクションが、かなり抑えられるのではないだろうか。

もちろん、入学が年2回ということは卒業も2回になるので、大学の教職員の負担は増えるし、教育における若干の混乱も起きるかもしれない。だが、対応の仕方次第だろう。

国によっては、入学や卒業の式典などを行わないところもある。生涯教育のような、学び続けることが今後、より日常的になるなら、それも一つの考え方ではないだろうか。学生の視点も考慮されなければならないが、式をなくせば、その点での教職員の負担も抑えられる。

移行しないメリット

一方で、現在の4月入学を9月入学に移行しないメリットも実はある。

日本の高校や大学を3月に卒業し、欧米の大学や大学院に9月に入学できる現在のスタイルだと、該当者は入学前に、現地生活に慣れたり、サマースクールや語学研修などに参加できる時間的余裕をもてたりする。より万全な形で新学期を迎えられ、その期間を社会的見聞を広めるためのギャップ・イヤー(GY)的に活用もできる。

そして、日本で9月入学も可能になれば、3月に高校などを卒業し、入学までの期間をGYとして活用することも可能になる。

今後の社会は大きな変化が続くことが予想され、私たちは学び続けることが必要とされるだろう。また、少子高齢化で大学も新入生の数が減少し、社会人学生・院生の獲得が重要になる。

社会人が学ぶ際には、仕事の繁忙期およびキャリアの形成やチェンジのタイミングが重要になる。その際に、年1回の入学・卒業より、より多くの機会や可能性のある大学の方が選択されることになるだろう。

このように考えていくと、大学は、現在のように4月の年1回ではなく、まず4月と9月の年2回入学できる仕組みに移行し、経験を積み、その経験を生かして、各大学がその後どのような方策をとるかを決めていくことが、大学にとっても、社会全体にとっても、より問題や課題を抑制し、可能性や機会を生み出していけるのではないだろうか。

(注1)大学入学情報図書館(RENA)「[大学学部]秋入学募集」などを参照のこと。

(注2)「4月入学の国って他にある?日本の新学期・入学式が4月始まりの理由」(三浦康子、Allabout)参照のこと。同記事によれば、「東京大学の調査(入学時期の在り方に関する『懇談会中間まとめ』2012年)によると、9月入学の国は116カ国」である。


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