教職課程コアカリキュラム 導入の効果検証を(工藤文三)

教育新聞論説委員 工藤 文三

教員養成の質の向上

教職を目指す学生の採用以前の質を決めるのは、教職課程の内容や運用の在り方と採用試験に向けた学習にあるといってよい。教職課程の内容と運用の在り方については、まず目標とする資質・能力の育成を目指してどのようなカリキュラムを編成するのかが問われる。

例えば、各教科の指導力の育成は、当該教科の内容について学ぶ「教科に関する専門的事項」の科目と「各教科の指導法」の科目の学習によって達成される仕組みとなっている。ただ、大学・学部によっては、「指導法」に関する科目を複数配置し履修させるところも見られる。

次に、これらの科目の指導内容が専門性を生かしながらも、教育実践力につながるものになっている必要がある。特に「指導法」の科目においては、当該科目の指導に必要な知識と技能の習得が必要である。

さらに、各科目を担当する大学などの教員の力量も重要である。大学教員の専門性は研究業績で評価されるが、一方で、学生に教育実践力を養うことのできる指導力も求められる。

教職課程の再課程認定とコアカリキュラム

2018年度において、教職課程を設置する全国の大学に対して、再課程認定の審査が行われた。

新しい課程においては、「総合的な学習の時間の指導法」や「特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対する理解」の新規科目の設置、各科目の区分の変更などの改革が行われた。さらに、新規科目については、担当教員の業績審査が行われるとともに、多くの科目についてコアカリキュラムが示されることになった。

課程の申請に当たって、各科目のシラバスとコアカリキュラムとの対応関係を明確にすることが求められた。例えば、「各教科の指導法」のコアカリキュラムは、「全体目標」とともに、「(1)当該教科の目標及び内容」と「(2)当該教科の指導方法と授業設計」から構成されている。(1)(2)にはそれぞれ5つの「到達目標」が示されている。

再課程認定審査においては、「教職課程コアカリキュラム対応表」の提出が求められ、シラバスに示す15回の授業とコアカリキュラムの到達目標との対応を記すこととなった。コアカリキュラムに示す「到達目標」は、授業のどこかで必ず取り扱うことになったわけである。

コアカリキュラムの効果の検証

大学教育の基礎は、教育内容を基礎づける学術性にあり、大学教員として採用され、昇任する際も研究業績が求められる。一方、教職課程においては、将来の教員に必要な教育実践の基礎的能力の育成が求められる。

この学術性と実践性との関係は、教職課程の運用において、常に課題にされてきた。この課題に応えるために導入されたのが、コアカリキュラムである。コアカリキュラムを踏まえた授業は既に2019年度から実施に移されている。

今後は、各大学の教職課程の授業において、コアカリキュラムがどのように生かされているのか、その効果と課題を把握・検証し、今後の改善につなげることが必要である。

具体的には、いくつかの大学の協力を得て、既に提出している「教職課程コアカリキュラム対応表」を分析する方法がある。単独の授業回で行う到達目標と、複数の授業回で対応する到達目標を整理することができる。また、担当教員の協力を得て、コアカリキュラムに示す到達目標が、どのような授業と対応させられているのかを把握し、相互関係を整理する。

さらに、当該科目の評価の要素に、コアカリキュラムの到達目標が含まれているかどうかを把握することも想定される。学生が作成する履習カルテの分析とともに、最終年次で履習する「教職実践演習」において、学生が身に付けた知識や力量をコアカリキュラムと関連付けて評価することも考えられる。

一方、コアカリキュラムが各自治体の採用試験にどのような影響を及ぼしているかの把握も必要であろう。

いずれにしても、まずは、導入されたコアカリキュラムの成果と課題を把握するための方法の検討を開始することが必要である。


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