わいせつ教員と免許法 3年で再取得の見直しを急げ(細谷美明)

教育新聞論説委員 細谷 美明

性犯罪に遭った児童数は10年で4倍に

最近の教員によるわいせつ行為などの増加状況を受け、萩生田光一文科相が、懲戒免職処分を受けても3年が経過すれば免許状を再取得できる現行の教育職員免許法を改正する準備を進めていると、衆議院文部科学委員会で述べた、と7月22日付本紙電子版で報道された。

現行法の改正について、筆者は1月23日付本紙電子版のオピニオンにおいて触れ、改正に向けた早急の対応が必要との見解を示した。今回は、同法の改正以外に必要な法整備について述べてみたい。

性犯罪、特に子供をターゲットとする性犯罪は年々増加の傾向にある。警察庁によれば、性被害に遭った児童数はここ10年間で約4倍になっており、2019年で1559人となっている。女子児童だけでなく男子児童の被害数も増えているのが最近の傾向だ。

性犯罪は、再犯率が他の犯罪と比べ高いのがその特徴である。15年の犯罪白書によれば、性犯罪で刑務所に再入所する者の割合は覚醒剤、窃盗、詐欺に次いで高い。

性犯罪の発生率がわが国に比べ非常に高い米国では、性犯罪で服役し刑期を終え出所した者は、出所後あるいは判決後15年間、その居住場所などを警察に届けなければならない。

その情報は犯罪内容によって学校や地域の社会教育団体などにも通知される(メーガン法)。さらに、近年になって犯罪者のデータベースをインターネット上で公開することを義務付ける法律もできたという。そのため性犯罪歴のある人物を教員として採用してしまった場合、後から保護者からクレームが出され学校側が訴えられるケースが増えている。

被害者よりも加害者の人権を優先

わが国はどうか。法律ではないが「子ども対象・暴力的性犯罪の出所者による再犯防止に向けた措置制度」がある。

性犯罪で服役した者が対象となるが、出所後の居住場所の情報提供は法務省、警察庁を通し居住予定の地域警察署に通知されるだけで、転居も含め本人からの報告は任意で、再犯を抑止する効果は薄い。さらに居住先への警察官の訪問も拒否でき、被害者やその家族の心情を考えれば欠陥の多い制度であることは間違いない。

実は、04年に奈良県で起きた女児誘拐殺人事件を契機に、米国のメーガン法と同様の法制化の動きがわが国にもあったが、受刑者の人権やプライバシー保護などを理由に見送られた経緯がある。被害者よりも加害者の人権を優先するわが国の法社会の短所が如実に表れた例でもある。

世界に目を向ければこのほかにも性犯罪の再発を防ぐ取り組みはいくつも見受けられる。米国や韓国では性犯罪歴を持つ人間にGPS端末を装着し、常時監視するシステムを導入している。

国内でも新潟県では県内で起きた女児殺害事件を受け、18年に議会が性犯罪者へのGPS端末の装着を国に求める意見書を決議している。これを受け、国も検討に入っているが、関係法令の改正も必要とあって時間がかかりそうだ。

オール省庁で体制整備を

性被害の対象となった人間は、加害者が検挙され服役したとしてもその傷を一生背負って生きていく。ましてやそれが子供であればなおさらだ。

再犯率が高いと指摘されるわいせつ行為で行政処分された人間を二度と教壇に立たせないためにも、教育職員免許法の改正とともにメーガン法などのような半永久的に性犯罪経験者を監視するシステムを持った法律が必要ではないだろうか。

そのために文科省は、法務省など関係省庁に働き掛け、オール省庁での体制を整備していくこと、わいせつ行為を行う教員の実態をマスコミなどに訴え世論支持を構築していくことなど、子供たちが安心して生活できる学びの場を保障する条件整備をぜひとも実行してほしいものである。


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