「主体的に学習に取り組む態度」 子供の姿につながる評価を(工藤文三)

教育新聞論説委員 工藤 文三

教育実践期における学習評価の課題

小学校から順次新教育課程に移行しつつある中で、各学校では新型コロナ対応に取り組みながら、授業の実践と評価活動がスタートしている。新たに観点として設定された「主体的に学習に取り組む態度」の評価については、これまで「関心・意欲・態度」の評価で指摘されてきた課題を克服して、豊かな学力につながる評価の姿を定着させていく必要がある。

2019年3月に指導要録の改善通知が出され、その後、19年、20年と国立教育政策研究所から参考資料が公表された。日々の教育実践とともに、実際に学習評価を進める段階になると、評価の考え方や趣旨のみでは具体化できない課題に直面する。

一つは、どの場面でどのような方法で児童生徒の学習状況を把握するかという点である。今回は、知識・技能の獲得や思考力・判断力・表現力等を身に付けるための活動において、「主体的に取り組む態度」を見取ることが求められている。例えば、同じワークシートにおいて、思考力の把握とともに、「主体的に学習に取り組む態度」を評価可能な方法を具体的に用意する必要がある。

第二に、「十分満足できる」「努力を要する」状況の判断基準である。使える判断基準とするためには、評価規準を評価場面と評価方法に即して、具体化しておく必要がある。この判断基準について具体的に指針となるような公的資料はなく、授業者が授業の目標設定と同時に準備しておく必要がある。

第三に、学習評価について、児童生徒や保護者に説明できるようにしておくことである。特に「主体的に学習に取り組む態度」とはどのようなことで、どの場面・方法でどんな基準で評価したのか。また、評価の手順の根拠について説明できるようにしておくことが必要と考える。

そのほか、4観点から3観点になったことに伴う観点の間の重み付けや分割点の設定についても欠かせない課題である。

「粘り強く」「自己調整」でよいのか

「関心・意欲・態度」の評価については、1991年に設定されて以降、課題が指摘され続け今回の見直しに至っている。挙手の回数やノートの取り方といった必ずしも教科学習の内容と関係しない、形式的な活動が評価対象にされがちだったという指摘である。

そこで、今回「主体的に学習に取り組む態度」の評価に当たっては、「学習に関する自己調整を行いながら、粘り強く知識・技能を獲得したり、思考・判断・表現しようとしたりしているかどうかという、意思的な側面を捉えて評価する」としている(中教審教育課程部会「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)(2019年1月)」。

ここでの「粘り強く」「自己調整」は、その後国立教育政策研究所の参考資料にもグラフとともに引用されている。この「粘り強く」とは、「根気強い」とか「忍耐強い」という意味で日常的に使われる言葉である。根気強く、忍耐強く学習に取り組むことが果たして主体的な学習態度といえるのであろうか。

「主体的」の意味には、学習課題を自らの課題として引き受けようとする姿勢や最後まで責任を持ってやり遂げようとする姿勢があるのではないか。学習に没頭して打ち込み、調べたり考えたりしていく姿勢こそが主体的に学習に取り組む態度といえるのではないか。「粘り強い」という印象的な言葉でなく、実際の学習に即した、子供の姿につながる説明が必要と考える。

一方、各教科の評価の観点の趣旨の中で「粘り強く」が記されているのは算数・数学のみである。「主体的に学習に取り組む態度」の評価の観点の趣旨は教科によって異なっていることが分かる。

いずれにしても、「関心・意欲・態度」の評価に当たっての課題と同様の事態にならないよう、評価方法と評価事例の情報収集と蓄積・共有化を進めたいものである。


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