「読書週間」 読書の広がり深まりを求めて(寺崎千秋)

教育新聞論説委員 寺崎 千秋

ますます本が好きになるように

10月27日から11月9日までの2週間が読書週間になっている。「子供たちに良書を正しく読む習慣を身に付けさせ、読書生活を向上させる」ことが目的である。各学校ではどのような取り組みが計画されているのだろうか。

読書の意義や必要性は昔からさまざまに言われ、誰もがその価値や必要性を認めてきた。しかし、ゲームやスマホなどの出現、子供たちの家庭や地域での生活の変化などにより子供たちの読書離れが進んでいることが指摘され、読解力の低下などからも読書の重要性が再確認されている。

学習指導要領でも読書について「自主的、自発的な読書活動の充実」を重視し、そのために「学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図る」こと、さらには「地域の図書館の活用を積極的に図る」ことも求めている。

これを踏まえて、読書週間に今から備え、充実した読書指導により、子供たちに本との出会いの機会をつくり、本に興味を持ち、本を手にし、本に馴染(なじ)むよう、ますます本が好きになるように導きたい。読書週間が始まってから「皆さん、本を読みましょう」と声掛けしても空振りとなろう。用意周到な準備が必要である。

朝読書はじめ多様な実践が

一般財団法人教育調査研究所では、2019年度「小・中学校における言語能力の育成の現状と今後の取組について」の研究の一環で、「子供たちの読書への取組」について調査した。その結果、小中学校とも多様な取り組みが展開されており、読書指導に力を入れている様子がうかがわれた。

例えば、朝読書を教育課程に位置付け継続している例が多数あった。図書委員会による活動の重視、図書館司書による個別サポート、ボランティアによる読み聞かせやブックトーク、読書集会、ブックフェスタなどの開催、読書マラソン、感想文コンテストなど。

国語の学習と関連させて読書感想文、マイブックカード、本の帯作り、栞(しおり)作りなど、ビブリオバトル、バネルシアター、ストーリーテリングなどを取り入れている学校が見られた。

このように多彩な取り組みが実践されている。これらを参考にし、読書週間を充実したものにしてほしい。

課題の多い読書環境

同研究では「読書環境に関する課題」も明らかにしている。多く挙げられていたのが学校図書館関係である。特に予算不足、蔵書量不足、蔵書の古さ、新刊を整理する人や時間がない、図書館が子供の人数に比して狭いなど、読書環境の悪さに困っている状況がうかがわれた。読書にかける時間のなさや余裕のなさも多く挙げられていた。

子供に関しては、読書習慣が身に付いていない、名作を読まない傾向、読書をする余裕がない、漫画ばかり読む、帰宅後の生活に余裕がない、興味関心がスマホやネットの方に向いているなどである。これらについては、自校の実態を踏まえて工夫することが求められよう。中長期的には教育委員会との連携も必要であろう。

教師に関しては、読書する時間がない、若手教師の読書経験不足、学校図書館の活用に関する認識が薄い、読書環境の重要性に対する認識が甘い、教師同士の意識や温度差が大きい、教室の読書環境の向上などが課題として挙げられていた。

教師自身の課題は重要な問題であり、管理職の指導、リーダーシップの発揮などにより教育の質を上げチーム学校としての取り組みをつくっていくことが求められる。頑張ってほしい。

家庭・地域と一体となって

「読書環境に関する課題」では、家庭の読書環境の低下が問題視されていた。一方で、数は多くないが家庭における読書環境の向上のために学校としてさまざまな取り組みや発信を工夫する姿が見られた。

家庭・PTAでは読み聞かせのボランティアが多くの学校で行われていた。地域においても子供たちの読書環境をよくしようとする活動を進めていることも見られた。このように、学校だけでなく家庭・地域と協働・連携した実践を取り入れていくことにもぜひ取り組んでほしいものである。

読書週間を一時のものにせず、この機会に改めて読書の意義を学校・家庭・地域が一体となって確認し、共通理解して、子供たちへの読書指導の充実に向けて十分に計画を立てて取り組むことを期待したい。


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