人権教育 指導の継続・深化を目指せ(寺崎千秋)

教育新聞論説委員 寺崎 千秋

人権週間・人権の日

12月4日から10日まで人権週間であり、10日が人権デーとなっている。12月10日は1948年に「世界人権宣言」が第3回国連総会で採択された日である。その第1条には「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利について平等である。人間は理性と良心を授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない」とある。

以来70年を越えたが人権問題は相変わらず大きな課題であり続け、コロナ禍においても新たな課題が生じている。これまでの人権教育を見直して一層重視し充実させる必要がある。人権週間・人権の日を前に改めて日常生活、学校生活での人権に関わる諸課題を見つめ直し、自校の人権教育の取り組みの充実を図るときである。

人権課題に目を向けよう

2000年に「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」が施行され、この法律に基づいて「人権教育・啓発に関する基本計画」が閣議決定されている。推進方策として「人権一般の普遍的な視点からの取り組み」および「各人権課題に関する取り組み」を求めている。後者の人課題権については、「女性、子ども、高齢者、障害者、同和問題、アイヌの人々、外国人、HIV感染者、ハンセン病感染者・元患者等、刑期を終えて出所した人、犯罪被害者等、インターネットによる人権被害、北朝鮮当局による拉致問題、その他」が挙げられている。「その他」には「ハラスメント、性同一性障害者、性的指向、路上生活者、個人情報の流出やプライバシー侵害等々」が挙げられている。

学校の中でもいじめ、体罰、セクハラなどが問題になっている。さらにコロナ禍の中、医療従事者などへの偏見・差別問題も生じている。このように身の回りには人権課題、人権侵害の状況が溢れているといっても過言ではない。人権感覚と人権意識が問われるところである。

人権教育取り組みの実践に学ぶ

人権教育に取り組む学校では「人権教育の全体計画」を作成し、これに基づいて以下のような取り組みを推進している。例えば「互いに認め合い、自分も人も大切にする児童」の育成を目指し、「体験、共感、対話」を重視した教育活動を推進する。教科等の指導では「普遍的な視点からの取り組み」と「個別的な視点からの取り組み」の両面から関連を図りながら指導を工夫し、課題の解決に向けた実践的な態度を培うことを目指している。

一方、日常的な指導では、異学年グループ編成の縦割り班活動やあいさつ運動、触れ合いを大切にする「みかんの収穫などの活動」、人権の花の栽培、○○小人権週間の実施、図書ボランティアによる読書活動などに計画的に取り組んでいる。また、人権啓発に関わる掲示の工夫、教師なども含めた良好な言語環境づくり、人権に関わる図書などの資料の充実に努めるといった校内環境の整備に努めている。さらに家庭・地域との協働では勤労・奉仕活動、高齢者施設訪問、幼稚園・保育所との交流、地域公園の清掃活動などを通して連携を図っている。教職員も各種研修に積極的に参加する、校内研究での授業づくりや教材研究・教材開発などを通して自らの人権感覚や人権意識を磨くなどに努めている。年間を通した意図的、計画的、組織的な取り組みがある。

人権を大事にする学校づくり

人権週間、人権の日の前後には、児童虐待防止月間(11月)、をはじめ、犯罪被害者週間、服務事故防止月間、世界エイズデー、国際障害者デー、障害者週間、北朝鮮人権侵害問題啓発週間などが予定されている。これらに目を向けてみよう。

人権デー・人権週間の1日・1週のための講話や指導だけでは子供たちの人権感覚や人権意識は育つまい。教師も同様である。教育課程に位置付け指導計画に明示して年間を通した取り組みを大切にしたい。さまざまな人権課題に目を向け、子供とともに人権感覚を磨き人権意識を高め実践的な態度を培っていく学校でありたい。


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