学校評価 コロナ禍対応の視点を取り入れて(寺崎千秋)

教育新聞論説委員 寺崎 千秋

コロナ禍の学校評価

小学校では新教育課程になって最初の学校評価である。新教育課程が円滑に実施されたか、教育および学校運営の成果や課題を明らかにし次年度の教育課程や学校運営計画の改善を図る。中学校では現行教育課程最後の学校評価であり、10年間の教育と学校運営などの総括評価を行う。そして新教育課程の編成、新指導計画の作成、円滑に実施するための新学校運営計画の策定などの仕上げを行うときである。

今回の学校評価では、3月以来の新型コロナウイルス感染症対策・対応による前代未聞の長期休業、再開後の新しい生活様式での教育活動および学校運営の評価を加えることが必要である。さらに、コロナ禍は広がりつつあり新年度においても続きそうな気配である。従って、新年度の教育課程や学校運営はこれを加味したものにせざるを得ないであろう。いくつかの視点を示したい。

教育課程編成の重点及び実施の方針

教育は周知の通り知・徳・体をバランスよく育むものである。各学校では当該年度の教育活動の成果や課題、子供や地域の実態に応じ次年度の重点を定めて教育課程を編成する。コロナ禍では、子供たちのコロナへの不安や閉じられた生活へのストレスなどの心の問題、運動不足や不健康な日常生活による体力・健康の問題が生じている。コロナ禍での学習の遅れも大きな課題であるが、これに目が行き過ぎ心と体の面への視点を見失ってやしないかとの指摘もある。心や体の教育で何が問題かを改めて評価し、どう取り組むかを教育課程に明記することが必要であろう。

また、学校休業中に教育課程を見直して再開後に実施したが、その評価も必要である。特に、学校の新しい生活様式、3密を避ける教育活動はおそらく新年度も継続するという前提で臨む必要があろう。現状においてこれらにどのような成果が見られ、どのような課題があるのかを明らかにし、次年度の取り組み方針や内容を定めることが必要である。

学習指導の振り返りと充実に向けて

新教育課程の中核である資質能力の三つの柱の育成を重視した「主体的・対話的で深い学びの実現」に向けた授業づくりの取り組みはコロナ禍で出遅れた感もある。次年度はこれにしっかりと取り組むことになろう。特に、中教審の答申が間もなく出されることから、学習指導要領でも重視している「個に応じた指導」や「協働的な学び」に視点が当てられると考えられる。

学校の新しい生活様式の中でこれらをどのように効果的に実現していくか。苦労もあることが予想されるが工夫する力が試される時でもある。オンラインなどでも多様な工夫の姿が紹介され交流されている。情報を収集して授業改善、指導計画改善、教育課程改善に生かしたい。また、生活科や総合的な学習の時間をはじめとして地域と連携した体験的な学習や協働的な学習が困難になっているという声を聞く。だからと言って切ってしまうと地域との関係が疎遠になりかねない。いったん疎遠になると戻すのは大変である。ビデオやカメラ、電話など、可能であればオンラインで、顔が見え、声が聞こえるようにして交流することを工夫したい。

ICT化への対応

間もなく全ての児童生徒にタブレットが配付される。これを使用・活用する授業づくり、指導体制、環境づくり、研修体制等の準備や組織・体制を整えなくてはならない。わが国は、世界の中でICT化が最も遅れていることを教師らは認識しているだろうか。これからいや応なく教育のICT化が進んでいく。しかも急速に。一方、子供たちの中には、教師より進んでいる子がいたり、全く関わっていない子がいたりするなど差が大きい。コロナ禍で近視が増えているともいわれている。すでにプログラミング学習は導入されている。保護者の関心も高い。こうした状況を踏まえて学校のICT教育の方針や取り組み方を策定し教育課程に位置付けなくてはならない。

学校のイノベーションが始まっている。学校評価を通してその主体者となろう。


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