2021年の取り組みは、今後の学校の姿を決める(斎藤剛史)

教育ジャーナリスト 斎藤 剛史

学校の一斉臨時休業などかつてない経験をした2020年もようやく終わり、いよいよ2021年を迎えた。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大は、首都圏の1都3県に再び緊急事態宣言が出されることになり、まだまだ厳戒態勢が続く。今年、学校現場は、何をしなければならないのか。言い換えれば、今年の取り組みによって、今後の学校の姿が決まっていく。「持続可能な働き方」「オンライン学習の推進」「新しい学校の構築」の三つのキーワードから考えたい。

「持続可能な働き方」に修正する

振り返れば、学校現場の多忙化に一般社会の関心が集まり、20年は「学校の働き方改革元年」ともいえる年になるはずだった。ところが3月からコロナ禍による一斉休業が始まり、その後、学習の遅れ回復のための授業時間確保や教室などの消毒作業で、教職員の仕事は一層多忙化に拍車がかかり、学校の働き方改革は事実上、棚上げ状態となっている。これについて、多くの教委関係者や校長など管理職は、「非常時だから仕方ない」「今を乗り切ればなんとかなる」と内心では思っていないだろうか。

新型コロナウイルスは、ある意味、大規模自然災害であり、それに見舞われている現在は、確かに「非常時」だ。しかし、地震などの災害と異なり、感染症による災害には明確な終わりがない。ワクチンも実用化され始めているが、現在のワクチンは、あくまで重症化を予防するもので、感染自体を防止するものではない。コロナ禍による非常時は、あと数年は続くと考えた方がよい。つまり、教職員たちの気概と犠牲で何とか乗り切った20年のやり方は、21年にはもう通用しない。早急に、教職員の仕事を「持続可能な働き方」へと修正していかなければ、学校現場は崩壊してしまう。

それを防ぐためには、まずクラスターが発生した場合の社会の批判を恐れて、マニュアル以上に実施している消毒作業などの業務を、できるものから外部に委託していくことだ。非常時という考え方を捨て、「ウィズコロナが日常」という認識を持たなければならない。

「オンライン学習の推進」を具体化する

GIGAスクール構想などオンライン学習への政府や一般社会の期待は、ますます高まっている。その一方で、学習の遅れ回復のめどが立ち始めた時期を境にして、オンライン学習に対する学校現場の関心は低下しつつあるようにみえる。現在、コロナ禍の中でも全員登校による対面授業が実施できるようになっているため、「もうオンラインは必要ない」「すぐに取り組む必要はない」と本音では思っている教員も少なくないだろう。

このままでは、せっかく1人1台として整備された情報端末も、盗難や破損防止のため鍵のかかった倉庫の中に保管されまま、ほこりをかぶることになりかねない。

GIGAスクール構想は、あくまでAIなどが普及、日常化した社会を生きる子供たちを育てるためのもので、それがコロナ禍によって前倒しされたにすぎないことを忘れてはならない。

確かに非常時であった20年を過ぎて、教職員の「持続可能な働き方」も「オンライン学習の推進」も、21年に学校現場が具体的にどう取り組むかによって、今後の行方が大きく左右されることになる。

「新しい学校の構築」に取り組む

また20年には、「3密」を避けるため学校行事、部活動などの廃止・縮小を迫られた。これを残念に思っている学校関係者は多いが、肯定的に受け止めている教職員も少なくないはずだ。子供たちのためにやめられないと思っていた行事や活動が、なくなってもあまり支障がないことを知ったという学校関係者も多いことだろう。

長々と続く卒業式などの来賓あいさつ、必要以上に時間をかけた運動会の練習などは、その代表例だ。ところが、コロナ禍が収束したら、これらを元に戻したいと考えている学校関係者は、意外に多いという。

持続可能な働き方のためには、従来の業務を廃止・縮小して「新しい学校の構築」を目指さなければならない。現在の学校が、オンライン授業と対面授業をハイブリッド化し、教職員らが持続可能な働き方のできる、新しい学校を構築できるかどうかは、今年、学校現場がこれらの課題にどう取り組むかにかかっているといえよう。


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