2021年の展望 ICTの視点から教育の再構築を(鈴木崇弘)

城西国際大学大学院研究科長・特任教授 鈴木 崇弘

対面授業の成功体験が手かせ足かせに

コロナに明け、コロナに終わった昨年。全国一斉休校に追い込まれたこともあり、多くの学校と教員のさまざまな努力で若干の変化はあったものの、結果として、オンライン教育をはじめとするICT教育に大きく切り替わることはなかった。

これは、画一的だが効率よく人材を育てて、第2次世界大戦後の日本の発展を支えた「対面授業中心の教育の成功体験」が、変化に対しての手かせ足かせになったからだろう。

日本には教育行政、教育現場はもちろん、家庭のレベルでも、「教育は対面がベスト」という意識が今も根強くある。

対面教育に他の方法で代替できない面があるのは事実だ。だが世界で起きつつあるICT教育やEdTech、STEAM教育などの大きな変化と潮流は、そのような議論や考え方とは本来は別の問題だ。

必要なのは対面教育とオンライン教育などの良し悪しを比較することではなく、児童生徒や学生がより主体的に学べ、個々の進捗(しんちょく)に合わせた学びを実現していくために、教育と教育機関を再構築することだ。

教育ICT元年になるか?

今年における教育のデジタル化の原動力は、文科省の「GIGAスクール構想」だろう。教育における世界の潮流を見据えて同省も本腰を入れてきており、今年こそは日本の「教育ICT元年」となりそうに見える。

だが、それがもし1人1台の端末配布だけで終われば、日本のこれまでのハード中心の政策と何ら変わりなく、新しい教育の今後の進展は見込めない。

もちろん同省もその危険性には気付いており、ハードのインフラ整備以外にも、教育ICT化への指導力の強化対応として、「GIGAスクールサポーター」制度などの関連費用を来年度予算案に盛り込んでいる。

最大の問題はマインド

しかし予想される最大の問題は、家庭も含めた、広い意味で教育に関わる人々の「マインド」だ。

従来の「対面教育至上主義」的な教育の延長線上で考えるのではいけない。

ICTの視点から、教育や教育機関の再構築を図っていくべきだ。

このコロナ禍の行方が、今年の教育の動向に大きな影響を与えることは言うまでもない。東京五輪・パラリンピックの開催の有無も同様だ。

しかし実は、教育に関わる人々が今年、教育のICT化に関する「マインドの変化」を持てるかどうかこそが、日本の教育と未来に最も影響を与えるのではないかと、私は思っている。


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