2021年、中学校教育は変わるか?(妹尾昌俊)

教育研究家、学校業務改善アドバイザー 妹尾 昌俊

新しい年がスタートしましたね。2021年はどんな一年になるでしょうか。

新型コロナウイルスの猛威は収束するどころか拡大中。子供たちが重症化する例がほとんどないのは不幸中の幸いなのですが、高齢者らにうつすと大変ですし、ウイルスには変異もありますから、油断できません。

GIGAスクール構想も進みます。年度内に約99%の自治体では調達が済む予定とのことで、遅くとも21年度からはほとんどの小中学校で1人1台端末と高速インターネット環境が整いそうです。

そして、あまり話題に上っていないような気も若干するのですが、21年度からは中学校で新学習指導要領が本格実施になりますよね。

本稿では、中学校教育が21年どうなっていくか、考えます。すると、先ほど書いた3点は、つなげて考えることが可能です。つまり、コロナ禍の中、ICTも活用しながら、新学習指導要領の理念にあるような学びに、中学校がなっていくだろうか、ということが2021年、大きく問われることになります。

公立中学校の魅力と難しさ

公立中学校には少なくとも2つの特徴があると思います。第1に、生徒の多様性です。高校や大学、あるいは私立学校では学力で輪切りのようなかたちで振り分けられますから、同質性が高まりますが、通常、公立中ではさまざまな子が在籍します。家庭環境や生育歴も多様。特別支援や日本語指導などが必要な子も多くの普通教室に入っています。

こうした多様性は公立中学校の魅力、よさにもなりますし、一方で、授業づくりや学校運営の難しさも高めています。

第2に、小学校までとの違いとして、教科ごとの壁が高くなりがちではないでしょうか。小学校までなら(保育所・幼稚園などでも)、同じ担任の先生が、複数の教科の視点を取り入れた授業をしたり、一部の単元などを組み替えたりしやすかったと思いますが、中学校からはなかなかそうはいきにくくなります。ですが、ご存じのとおり、新学習指導要領で強調されていることのひとつは、カリキュラム・マネジメントであり、教科横断的な視点も重視して、教育課程を立案、実施することが期待されています。教科書を最後まで終えることや高校入試対策ができていることがゴールではないはずです。

学びは変わるのか

小学校までは教科の壁を越えて、子供たちの興味・関心や好奇心を高めていける授業、学びができていたとしても(この点でも実際はどうなのかという検証や反省は必要でしょうが)、中学校からは、ともすれば、教科の殻にこもった先生の授業を、内申書に響くからと言われ、ひたすらノートテイクに一生懸命になる日々になり、以前好きだったことや興味のあったことが、いつの間にか、しぼんでいくような、そんな教育になっていないでしょうか。

仮にそうだとしたら、1人1台端末になっても、先生に言われたことをただ漫然とちょっとだけ調べて、勉強した気になったり、家に持ち帰ってトラブルになるといけないからと言われて、自分の好きなときには使えなかったりする。文科省や経産省は「個別最適な学び」を進めると意気込みますが、「最適」どころか、「学び」と言えるのかどうか、管理やモニタリングが強まっただけじゃないかという状態が続く。そんな状況になることだって、想定される気はします。

コロナの影響でさまざまな制約はありますが、部活動で生徒たちは元気。それはそれでいいことですが、肝心の授業や教育課程での学びはどうなのか…。私は、先生たちに「部活に逃げるな」と言いたいです。

あまりステレオタイプに論じてはいけないと思いますし、読者のなかには「いや、そんなことはないよ」という方がたくさんいらっしゃれば、うれしいことですが。

まずはこの1~3月の間に、これまでの中学校教育のよさ(今後も大事にして伸ばしたいところ)と、もっと大きく見直していかないといけないところを教職員で話し合い、直視する場をつくってはいかがでしょうか。

そんな時間はないですか。

確かに中学校の先生たちの多忙は大変です。ですが、「忙しいからできない」とばかり言ってきたから、変わらないままだったのではないでしょうか。たまには部活を休みにしても、もっとやるべきことがある中学校は多いと思いますが、いかがでしょうか。


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