オンライン授業の日 月ごとにでも設けては(鈴木崇弘)

城西国際大学大学院研究科長・特任教授 鈴木 崇弘

日本経済新聞が3月上旬に、大都市周辺の大学や国際化に力を入れる大学30校を対象に、今年度の授業形式について調査を行い、その結果を発表した。

それによると、対面中心授業は、2020年度後期には3.3%であったものが、この4月以降は60%になるという。他方、遠隔中心は、20年度後半56.7%であったものが、6.7%に激減するという。

「21年度から対面に軸足を置く背景には、新入生や保護者らの不満に加え、国による要請がある。遠隔が多いと受験生から敬遠されて経営に影響するとの見方も出ていた」ことなどがあると、この記事では指摘していた。また、感染拡大のリスクを無視できないので、完全対面の授業を行う大学はゼロであったことも書かれていた。

筆者の経験から

筆者も、昨年度は新型コロナの急速な感染拡大で、学生と共に、オンラインの仕組みをほぼゼロから四苦八苦で学び、不安や心配を持ちながらも、さまざまな問題や課題を解決しながら対応し、何とか乗り越え、十二分とはいえないかもしれないが、それなりの教育を提供できたと自負している。

それを通じて、オンライン教育の長短ばかりでなく、対面教育の良さの再確認もできた。また、学生からも対面授業や、他の学生との交流に切なる要望も挙がっていたこともよく知っている。

他方、同記事は「コロナ対応で導入した遠隔授業の利点を生かし、時間や場所の制約を受けずに学べる新しい大学教育の構築を目指す動きも広がっている」と指摘しているが、記事全体でみると、政府も大学もオンラインより対面教育の方が良いと考えているのを強く感じた。

今後の社会への準備として

実は筆者は、単に教育改革のためだけではなく、今後の私たちの生活や仕事・活動のためにも、オンライン教育を学校教育の中に組み込む必要があるのではないかと考えている。

今般のコロナ禍で、多くの企業でもリモートワークやオンライン会議などが活用されている。アフターコロナ期になっても、このトレンドは変わらないだろう。

つまり、このような仕事のスタイルは今後も継続していく。これから社会に出る学生・生徒たちにとっても、在学中にオンラインのスキルと経験を獲得しておくことは、将来のための貴重な知見になるだろう。

それは教員にとっても同様で、オンライン教育の経験と蓄積を維持、開発していくことは、これからも必要なのではないだろうか。

継続なしではスキル維持が困難

筆者自身の経験からも、オンライン授業を継続的にしておかないと、そのスキルは低下する。さらにソフトやアプリ、機材は日々進歩するので、ある期間、離れてしまうと、いざという時に迅速に対応できない可能性が高くなる。

シンガポールでも昨年、コロナ禍で学校閉鎖になった時期があったが、オンライン授業を行い、小学校から高校まで休業は1日もなかった。同国では、実はこのような事態に備えて、以前から年に2回、在宅オンライン学習の日を設けており、子供たちは教育省が準備した学習プラットフォームで、オンライン学習の訓練を受けていたのだ。

1年前のロックダウン措置の際に、学校は閉鎖されたが、大きな混乱はなく、小学生も保護者の支援を得ながら1カ月間、在宅でオンライン授業を受けることができたという。

オンライン授業の日の設置を

そこで提案だが、学校や大学でも、学期ごとや月ごとにオンライン授業の日を設け、教師と児童生徒、学生、さらに保護者の間で、オンライン教育の知見・経験を積めるようにしてはどうだろうか。

次世代のためにも、日本における教育機関の新しい可能性を向上させていくためにも、ぜひともお薦めしたい。

ちなみに筆者の属する大学院でも、各月のうちの1週はオンラインだけで授業をすることを決めたところである。


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