よちよち歩きのGIGAスクール構想(妹尾昌俊)

教育研究家、学校業務改善アドバイザー 妹尾 昌俊

4割の学校は子供に配布していない!?

本紙が実施した小中学校などの教員向け調査によると、1人1台端末を「授業で日常的に活用している」と答えた教員は19.3%、「端末が届き、授業で時々活用している」11.8%となった一方で、「端末が届いたが、児童生徒に配布していない」37.3%でした(本紙電子版4月7日、8日記事、回答数は357)。

また、端末の持ち帰りについては、「許可する・する予定」44.5%、「許可していない・しない予定」38.7%。持ち帰りを認めないとした回答者にその理由を尋ねたところ(複数回答)、「使用ルールが確立していないから」(59.4%)と「紛失・破損の恐れがあるから」(57.2%)の2項目が過半数を占めています。

各学校、地域でさまざまな事情や配慮はあるでしょうから、一概に論じられるものではありませんが、ICTの活用に向けて、あまりにも動きが鈍い学校が多いのではないか、というのが私の率直な感想です。しかも、これは本紙の読者など(比較的教育熱心な層が多い)への調査なので、実際はこうした数字以上に、消極的な学校は多いのかもしれません。

「使用ルールが確立していないから」なんて言い訳、1年近くあって、何をどうしていたのでしょうか。紛失・破損もそうめったにあることではありませんし、しかるべき誓約を家庭と交わすなりしたらよいでしょう。

「紛失・破損の恐れがあるから、教科書の持ち帰りは禁止します」という学校はありますか。約1年前の休校中の反省はどこに行ったのでしょうか。

いま休校になったら、どうなる

不幸中の幸いとでも言うべきでしょう。今のところ、日本では新型コロナの影響で児童生徒に重症者が多く出るような事態にはなっていません。ですが、変異ウイルスが今後どうなっていくかという問題もありますし、感染症以外のリスク(大地震など)もある中、いつまた学校が休校になってもおかしくはありません。実際、世界各国を見渡すと、この1年余りずっと休校が続いている国・地域だってたくさんあるのです。

約1年前の休校期間中、教育関係者(教職員、教育委員会職員ら)は何を感じたでしょうか。

「児童生徒と会えないのはお互いにつらいな。なんとかつながりたいな」。そういう思いの人も多かったと思います。

一部の自治体や私立学校では、Zoomなどを使った交流(朝の会や健康観察など)や双方向性のある授業などを行いましたが、多くの公立小中学校が続けたのは「プリント爆弾」(大量の宿題プリントを配布して、前後で大したフォローもない状態)でした。

またそれを繰り返したいと言うのでしょうか。

学校や教師の消極姿勢は、教育格差を広げてしまう

もちろん、ICTはツールにすぎませんから、使えばよいという話ではありません。ですが、多くの場合「個別最適な学び」(これの意味するところは曖昧で多義的かもしれませんが)や探究的な学びを進める上で効果的です。

授業での活用があまりにも消極的だったり、アプリのダウンロードや家庭への持ち帰りは一切ダメということになっていたりすると、どうなるのか。少し想像を働かせれば分かります。

第一に、学校から配布された端末なんて「使えねー」(使い勝手が悪い)となって、子供たちは学びにICTを活用することから遠ざかってしまう可能性があります。莫大(ばくだい)な税金の無駄になりかねません。

第二に、家庭に端末やネット環境があり、保護者が教育熱心な場合、その子供はどんどんICTの活用を進める可能性がありますが、それらが欠けている環境の児童生徒は進めたくても、進められません。例えば、学校の限られた時間の授業中だけでは、タイピング一つとっても習得するのは難しいかもしれません。

つまり、学校、教師の消極的な姿勢は、結果的には教育格差を広げてしまう可能性が高いのです。

新しいものを使うのは、誰にとっても抵抗感がありますし、トラブルなどが心配だということも分かります。ですが、学校、教師はいったい何を守りたいのか、何を重視したいのか。もっと言えば、どこを見て仕事をしているのかが、問われていると思います。


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