学校は会場でなくGIGA端末でオリパラ観戦を(鈴木崇弘)

城西国際大学大学院研究科長・特任教授 鈴木 崇弘

コロナ禍でのオリパラ

新型コロナを巡る状況は、国内外で一進一退を続けている。ワクチン接種も開始され、希望も見えてきた。だが首都圏を中心にいまだ、まん延防止等重点措置がとられており、感染も拡大傾向にある。週末には各地で人が溢れ、緊急事態宣言が再び発令される可能性も高いと言われている。

一方で最終決断ではないが、政府は実質的に東京五輪・パラリンピックの開催を決めており、焦点は無観客開催かどうかなどになっている。

オリパラ開催は、日本の若い世代に夢と希望を与えるということで、学校観戦は安価な特別チケットが用意され、昨年1月時点では全国で約128万枚の購入希望があった。

だが、ここにきて首都圏を中心に多くのキャンセルが出てきており、その数は今後もかなり減るだろうと予測されている。

開催国内で自国などの代表選手を応援し、さまざまな競技にじかに接して、この雰囲気やスポーツを体験できる機会はそう頻繁にはない。菅総理の国会答弁ではないが、子どもたちのこれからの人生に大きな影響を持つだろう。それは「1964年のオリパラ」を体験した筆者の実感でもある。

しかしコロナ禍の現状を考えると、子どもたちを含む「一般国民の観戦あり」には無理がある。そうするのなら、ワクチン接種は現状よりも3カ月前、可能なら半年前に開始すべきだった。

こうしたことを踏まえると、無観客開催を即決断した上で、その中で最大限の結果を出すことを考え、子どもたちと日本の社会、そして世界に、夢と希望、さらに新しい可能性を示唆できる大会にしていくべきだろう。

GIGAスクール構想を生かす

具体的には、GIGAスクール端末の1人1台環境もかなり進んできているので、それを活用すべきだ。

東京五輪・パラリンピックに対して、学校や教員は、例えば次のようなアプローチをしてみてはどうだろうか。

▽今回の開催時期は、学校の夏休みともかなり重なるので、夏休み前に教員は子どもたちに、オリパラ関連情報の入手方法を説明し、学校やクラスで注目する競技を決めるなどの事前準備をする(注1)▽学校に集まって観戦するのではなく、基本的に子どもたちと教員はオンラインでつながり、意見や感想を出し合いながら、競技観戦する。

1964年のオリパラも、会場観戦できたのは非常に限定された子どもたちだったことを考えると(注2)、会場観戦できたかどうかは、それほど大きな意味はないのではないだろうか。

DX時代の教育のメモリアルイベントに

そして今回は世界的に考えても、DX(デジタルトランスフォーメーション)化が本格化した中で迎える、初のオリパラだと言っても過言ではない。

従来のオリパラは主にテレビ(特に地上波)で放映されることが多かったが、今回はNHKと民放局、さまざまな情報通信企業などが協力して、テレビだけでなくウェブ、SNSなどで、オリパラと競技の多様性・多面性や関連情報(文字情報や動画・音声情報)を発信すべきだ。

その際にICT、AI、XR、ドローン、その他の最新テクノロジーを駆使すれば、従来は見えなかったさまざまな競技の場面や雰囲気を、ビビットに伝えることもできよう。

そして子どもたちを含めた国内外の一般観客が、適切な双方向コミュニケーションをとれるようにすれば、新しい交流と感動を与えることも可能だ。その情報の蓄積は、新しいレガシーの蓄積にもなる。

この機会をしっかり生かせば、東京大会は今後のオリパラの可能性や方向性を示すだけでなく、DX時代の教育の可能性を生み出すメモリアルイベントになるはずだと考える。

(注1)事前準備や関連情報の入手には「東京オリンピック・パラリンピックガイド」や「NPO法人パラキャン」のホームページなどが役立つ。またコロナ禍の収束後は、スタジアム観覧、競技経験などをぜひ組み合わせて考えたい。

(注2)筆者は当時小学生で、学校長と生徒会長らのみが開会式などを観戦し、他の教員や児童は学校に集合して一緒に、あるいは自宅で観戦した。それでも、個人的にも学校的にも、気分はかなり盛り上がっていたと記憶している。

 

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