学校は機動的対応で感染防止と教育活動の両立を(藤川大祐)

千葉大学教育学部教授 藤川 大祐

オミクロン株への学校の対応策

 2022年が明けて以降、オミクロン株への置き換わりで、日本国内で新型コロナウイルス新規感染者がこれまでにないペースで増えている。重症化率は低いとはいえ、医療の逼迫(ひっぱく)は日に日に深刻化している。子どもたちの感染も多く、学校への影響は大きい。ちょうど入学試験の時期であり、受験生への影響も懸念される。

 こうした中、本紙電子版1月11日付でも報じられているように、末松信介文科相は対面とオンラインとで「学びの継続を図ること」に向け、GIGAスクール端末を活用して休校時等のオンライン学習ができる体制づくりを進める方針を表明した。1月17日付で報じられているように、岸田文雄首相も休校時の学びの保障や入試における受験機会の確保に取り組むことを求めている。

 では、オミクロン株感染者が急増している現状において、学校は具体的にはどのように対応していけばよいだろうか。現在分かっていることを踏まえ、整理してみたい。

 オミクロン株の特徴として、感染力がデルタ株等よりかなり強いことと、潜伏期間が短いことがある。このことを踏まえると、次のことが重要となる。

 第一に、体調不良者が学校に来ないことを徹底することである。感染者が学校にいれば、感染防止策を講じていても、感染が広がる可能性が高い。

 第二に、感染防止策として換気を徹底することである。オミクロン株の感染力が高いのは、空気中の微粒子を介して感染する「エアロゾル感染」による部分があると考えられる。空気がこもるような状況で複数の人がいれば、感染は広がりやすい。とはいえ、寒い中で寒気をすれば寒さで体調を崩すこともあるので、CO2モニターを使用してCO2濃度が一定以上になったら換気が不足しているものとして換気を行う等、メリハリをもって換気を行うことが求められる。

 第三に、感染者が1人でも出たら、短期間の学級閉鎖等を機動的に行うことである。3日程度学級閉鎖をして新たな感染者が出なければ、学校における感染の広がりはないものと想定できる。

教員に無理をさせてはならない

 上記に加え、教員が無理をしないことを重視する必要があることを強調しておきたい。

 学級閉鎖等の措置をとった場合、熱心な学校であれば担当の教員がすぐにオンライン授業を行うために出勤し、予定外の授業準備等に追われることになるかもしれない。だが、そうした教員もコロナに感染している可能性があることを忘れてはならない。学級閉鎖等の措置をとるのであれば、学級担任をはじめ当該学級の児童等と接点のあった教員はまずは自宅待機として無理をしないことが必要だ。すぐにオンライン授業に切り替えるといっても、数日は猶予があってよい。そもそも学級閉鎖等の期間はまずは3日程度と考えられるので、3日程度は教育を止めて様子を見るべきである。

 政府や教育委員会としては、せっかくGIGAスクール構想で1人1台端末が整備されているので、学級閉鎖等の事態になればすぐにオンライン授業に切り替えてほしいと思うのは理解できる。だが、教員に無理を強いて、教員に長時間の時間外労働をさせるべきではないし、教員からコロナ感染が拡大するようなことがあってはならない。オンライン授業は、感染が拡大して3日を超えて学級閉鎖等が必要になった場合に行うというくらいに考える必要がある。

普段からオンラインでの教育実践を

 もちろん、オンラインでの学習指導の準備は必要だ。このためには、普段から、1人1台環境を活用することが最も重要である。慣れていないことをいきなり行っても、なかなかうまくいかないものである。今からでも、対面でのコミュニケーションが困難になる事態を想定して、日頃の教育実践を進めることが求められる。

 例えば、連絡事項は口頭でなく学習支援システム上で行う、配布資料は電子ファイルでも配布する、自宅待機児童生徒が授業に参加できるように係を決めて授業を配信するといったことを行っていれば、オンライン授業に切り替えても困ることは少ない。また、教員が慣れるという意味でも、教員の打ち合わせや会議をいくつかの部屋に分散してオンライン上で行ったり、資料をオンライン上で共有するようにしたりすれば、教員がオンラインでのやりとりに慣れるはずだ。

 コロナ禍になって、学校は3度目の年度末を迎える。年度末の教育活動が3年も続けて大きな制約を受けることを黙ってみているわけにはいかない。感染防止と教育活動維持の両立を目指して、各地域や各学校で、最善が尽くされるようであってほしい。

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